機関紙127号 (2016年12月3日発行)
北村 肇(『週刊金曜日』発行人)
年末あるいは年始の衆議院解散はあるのかと、よく聞かれます。唯一の正しい回答は「わかりません」です。いまこの時点で安倍晋三首相が1月解散を「決断」していたとします。むろん、彼はそんなことをおくびにも出しません。そして何らかの事情で断念した際は、「決断」すらなかったことになります。解散に限っては、まさしく首相しだいであり、かつその判断は時々刻々変化します。だから、もっとも責任のある答えは「わかりません」なのです。
とはいえ、これでは身もふたもありませんから、現時点における可能性を探ってみます。そもそも本格的に解散風が吹き始めたのは、9月17日朝刊で日経が「来年1月解散説 永田町に浮上」と報じたころからです。同紙があげた主な理由は以下の4点でした。
1、自民党は例年1月の党大会を3月上旬に開催すると決めている
2、「一票の格差」是正のために選挙区を「O増6減」する必要があるが、自民党の候補者調整は難航が予測され、5月の審議会の勧告後の解散はしづらい
3、都議選重視の公明党は「次の選挙は都議選(2017年7月)と最低3〜4か月は離してもらわないと困る」と官邸に伝えている
4、天皇陛下の生前退位の議論が国会で本格化すれば解散は難しい
その後、自民党関係者から「解散の可能性が大きい」という声が出始め、「公明党も1月解散に前向き」と報じられました。前記4点のほかに以下のような根拠も加わりました。
▼訪日するプーチン大統領が北方領土返還に前向きのサインを出す可能性が高い
▼野田佳彦氏が幹事長になったことで民進党の支持率は上がらない一一。
さらに、そろそろ解散の時期に入っているということがあります。衆院任期は4年ですが、任期を全うしたのは1976年12月の1回だけ。衆院の平均任期は2年9ヵ月です。中曽根康弘政権以降では、3年以上経過して解散した例が8回と多く、2年以上3年未満で解散したのは1986年7月、05年9月、14年12月の3回だけですが、この3回はすべて与党の圧勝でした。つまり自公政権にとって「解散をするいい時期」なのです。
マスメディアの政治部記者と話をしても、年末・年始解散は既定路線だという見立てが圧倒的でした。ところが、10月末になって潮目が変わります。一貫して解散説を唱えてきた自民党の二階俊博幹事長が10月29日のBSジャパンの番組で「党内引き締めのために解散について発言してきた」と語ったのです。ある政治部記者はこう話していました。
「官邸や自民党幹部が解散風をあおっていたのは、総裁任期延長を通すためでした。解散をちらつかされると異論は言いにくいからです。結果として、10月26日に総裁任期は連続3期9年に延びました」
これが事実なら、国会議員もマスメディアもこぞってだまされたということになります。
早期解散の狙いが憲法改定にあったのは間違いありません。安倍首相の任期中に実現するには「総選挙で憲法改定に関して国民の賛同を得た」とする必要があったからです。しかし、総裁任期延長により、安倍首相には「時間」が与えられました。このことを考えると、解散がブラフだった可能性は確かにあります。
一方で、『週刊現代』(11月5日号)の「政治記者100人が答える」というアンケート結果によると、解散時期については「年明け早々」が51・9%、と半数を超えています。「なんだかんだいっても一月には解散」とみている記者が多いようです。ただし「北方領土返還交渉の進展」が前提になっているはずです。ドナルド・トランプ氏の米国大統領就任も合わせ、事態はどう動くか見当がつきません。やはり解散時期は「わからない」が唯一の正解です。それでも、あえて私の見通しを言えば「解散はなし」です。
そして、もう一点、「解散は首相の専権事項である」と当たり前のように語られますが、憲法のどこをみてもそんな権限はありません。いかなる事態になろうと、私たち有権者はこのことをしっかりと覚えておかなくてはいけません。
行木 恒雄(ジャーナリスト 椿峰在住)
沖縄・東村高江で米軍オスプレイのヘリパツド(着陸帯)建設に反対し、抗議していた住民に対し、大阪府警の機動隊員が投げつけた「土人」、「シナ人」という言葉に、わが耳を疑った。住民と機動隊員の間で激しいやりとりがあったとしても、今や差別用語として「死語」になっているのに、この暴言はひど過ぎないか。安倍政権と本土の一部にある「構造的な差別意識」が露呈したもので、沖縄県民全体への侮辱として看過できない。
沖縄県北部で亜熱帯照葉樹林が広がり、天然記念物のノグチゲラやヤンバルクイナなど希少動物が生息している「やんばるの森」。ここにある米軍北部訓練場の約半分(4千f)をヘリパッド6か所の新設を条件に返還する計画で、すでに2か所は完成。突貫工事中の残る4か所も年内に完成するとして、日米両政府はこのほど12月22日に訓練場を返還することを決めた。翁長知事はオスプレイの環境影響評価の実施と配備撤回を改めて要求している。訓練場は米軍占領下で強制接収されたもので、本来、無条件返還が当然なのだ。
森林が次々と伐採されて、周辺を含めて直径75mのヘリパッドが造られている。住民わずか140人の集落。日夜、飛び回るオスプレイの騒音で、睡眠妨害など耐えがたい被害を受けており、「全部完成したら、とても生活できない」という。墜落の危険もある。毎週水曜と土曜には支援者も合めて300人ほどで集中行動。これに対し、東京、大阪などから機動隊員を500人も派遣し抗議行動を弾圧している。無抵抗の人々を暴力的に排除、逮捕者やけが人も出ている。
こうした緊張状態の中で、10月18日、大阪府警の機動隊員が反対住民に対し、「ぼけ、土人」「黙れ、シナ人」という罵声を浴びせた(会報126号・沖縄通信参照)。翁長知事は「未開の地域住民を侮辱する意味を含む相当さげすんだ言葉だ。沖縄県民の感情を逆なでする言葉で言語道断。強い憤りを感じている」として、池田県警本部長に抗議した。県民は怒り、非難と抗議が全国に広がった。
菅官房長官も「不適切な発言」と述べ、金田法相も「差別用語」と認めた。大阪府警も当該の機動隊員2名を「戒告」の懲戒処分にした。ところが、驚くべきことに、鶴保沖縄・北方担当相が「『土人である』ということが差別だと断じることは到底できない」との発言を繰り返している。野党各党も「沖縄担当相の資格なし」として、辞任要求しているが、鶴保担当相は全く反省の色を見せていない。こんな大臣は即刻、議員辞職させるべきである。安倍首相の任命責任は重い。
口を開けば「沖縄県民の心に寄り添って…」という安倍政権だが、オール沖縄の民意を無視して、危険な普天間基地は「辺野古新基地への移設が唯一」とし、高江のヘリパッド建設に突進している。この強権政治こそが、反対運動を敵視する警察の差別体質を育て、差別暴言を擁護する鶴保担当相に勝手な言動を許しているのだろう。
この根本には明治以来、本土政府による「差別と抑圧の過酷な歴史」への無理解がある。琉球王国を解体して沖縄県にした「琉球処分」、あの悲惨な戦争では本土防衛の「捨て石」として犠牲にされた。戦後も米軍占領下で土地を取り上げられ、米軍基地が造られた。本土復帰しても安保条約により全国の米軍施設の74%が押し付けられ、憲法の「平和的生存権」が無視されている。米国と日本政府による半ば植民地状態とあって、「沖縄独立論」が表面化するのも無理がない。
一方、国が「翁良知事が辺野古埋め立て承認取り消し撤回に応じないのは違法だ」として県を訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部は9月16日、知事の対応は「違法」との判決を下した。「普天間の危険除去には辺野古以外にない」という政府の主張を追認した「不当判決」だ。翁長知事はこれを不服として最高裁に上告した。来年3月までに判決が出るが、楽観は許されない。
翁長知事は敗訴しても、知事権限(岩礁破砕許可、サンゴ採捕許可、設計変更申請審査など)を駆使して「辺野古新基地を絶対に造らせない」と、不退転の決意である。沖縄に米軍基地も海兵隊もいらない。沖縄に連帯し、全国各地でオール沖縄の闘いを盛り上げたい。
原田みき子(沖幅県本部町在住)
オスプレイ用ヘリパツドが強行的に造られている東村高江に、ポッカリ焼けた茶色の土面がある。まわりは深々とした草むらなのに、その場所だけ土がむき出しだ。ここに枯葉剤がまかれたという噂がある。ベトナム戦争時、高江の住民はベトコンの服装をさせられて軍事演習の標的にされた。
10年ほど前、漆芸家の夫は沖縄の工芸家たちと8人でベトナムを訪問した。その際、元ベトナム銀行の総裁から「枯葉剤は日本で作られた」と聞かされた。ショックでしばらく声が出なかったと言う。元総裁は停戦協議の時、日本語通訳として来日もしている。沖縄は「悪魔の島」と呼ばれたが他にも枯葉剤を作った「悪魔の県」がどこかにある。この事実が報道されたことがあっただろうか。
11月20日の沖縄タイムス紙は、米軍基地から川や海に有害物質が流れ出した事故が、キャンプシュワブとハンセンの2つだけでも過去14年間に114件あったと報道した。12000リットル以上の事故はいずれも日本側に通報されなかった。いったい米軍は私たち沖縄県民をどう思っているのか。高江でベトコンに仕立て標的にした時と同様の蔑視を感ずる。10月に「土人発言」事件があったが、日米両政府の沖縄差別は隠しようがない。
辺野古や高江の現場のリーダー山城博治さんは、ーカ月以上名護署に勾留されたままだ。10月21日「山城博治とその仲間の保釈を求める緊急集会」が那覇地方裁判所前であった。元裁判宮の神宗根勇さんは「博治さんは準現行犯で逮捕されたが、根拠のない違法逮捕である。針金を2力所切ったのと、テントに器物破損の損害を与えようとした民間人(?)を仲間5人と止めに入っただけ。一連の逮捕は運動の弾圧だ」と強く批判した。他に1人が機動隊を押しただけで逮捕され、7名が長引く勾留に耐えている。かくも激しい弾圧が過去にあっただろうか。沖縄だから何をやってもいいというのか。がん治療中の博治さんは、寒くなってくつ下の差し入れを頼み、家族が持参したら名護署は許可しなかった。耳を疑うような話である。こんな人権無視が許されていいのか。博治さんはこのまま名護署の留置場で殺されてしまうのではないか。
辺野古をめぐる裁判で、9月多見谷裁判長は国側の主張の写しとしか言いようがない判決を出し、国が全面勝訴した。県は最高裁に上告している。いま、東京でも「最高裁に中立・公正な審理を求める集会」が開かれている。全国にこの運動が広がることを願う。
山本 達夫(会世話人)
国連総会の第一委員会で10月27日、核兵器を法的に禁止する条約制定の交渉を来春から始める決議が123カ国(総投票国の70%)の賛成多数で採択された。この決議に5大核保有国のうち米ロ英仏は反対し中国は棄権した。戦争による唯一の被爆国日本は米国に同調して反対票を投じ、岸田外相はその理由を「核保有国と非核保有国の対立をいっそう助長し亀裂を深めるものだから」とのべた。
それが本当なら日本が反対するのも当然なので、新聞ではわからなかったこの条約名をネットで検索してみた。7割の国が賛成した核廃絶のための条約名は、「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約案」という長いものだった。
核を廃絶するための項目を具体的に掲げているからこそ長くなった条約名に、「核なき世界」を本気で実現させようとする国際社会の気迫を感じた。すべての国がこの条約が掲げる項目を完全履行すれば、「核なき世界」はまちがいなく実現する。にもかかわらず、この条約が「対立を助長し亀裂を深める」ということは、これらの項目をことごとく否定する側にいるからこそ言えるセリフなのだ。
ちなみに、安倍政権が同時に出した決議案の名称は「核兵器の全面的廃絶に向けた新たな決意の下での共同行動」といい、核廃絶は同じでも先の条約名と比べると気の抜けたビールのように味気ない。核保有国のなかでは米国だけが共同提案国となって採択されたが、肝心の「共同行動」には先の条約で掲げられた項目は何ひとつない。核廃絶の本気度ゼロの政権が書いた「核廃絶のための答案」だから実効性などみじんも感じられない。
今までも核軍縮や核実験禁止の決議は数多くあったが、「核なき世界」の実現は依然遠い。その最大の障害となっているのが、核保有国とそれに同調する国が固執する「核抑止論」である。
この論理は平たくいうと、核戦争を防ぐためには核兵器が必要という奇妙なものだ。ヤクザと同じで、「やられたらやり返す」というのだから核兵器の使用を前提にして成り立っている。「核抑止論」は、「核なき世界」をめざす論理と無縁どころか真逆であり、際限のない核保有を正当化するための理屈にすぎない。
事実、核保有国を5カ国に限定した核拡散防止条約(NPT)が発効した1970年以降、核保有国はインド、イスラエル、パキスタン、北朝鮮と増え、NATOの数カ国も米国配備の核を共有管理している。さらに核保有疑惑国としてイラン、シリアなどが指摘され、今や世界には15000発を超す核兵器があるという(朝日10/25)。そればかりではない。「核抑止論」は、核保有国がすすめる“核の近代化”という実戦的な核兵器の技術開発を正当化する根拠となり核戦争の危機をさらに高めているのだ。
安倍政権はこのような「核抑止論」を金科玉条とし、ありもしない米国の「核の傘」に依存することで日本の平和が保障されると狂信している。日本はこの見直しをしないかぎり、「核なき世界」の実現に本気で向かおうとしている国際社会の本流に合流することができない。
思えば、オバマ大統領が任期終了を前に「核の先制不使用宣言」を構想していたとき、真っ先に異を唱えたのが安倍首相だった。「核抑止力が損なわれ、核の傘にほころびが生じる」という理由だが、安倍首相は自らの表明が意味する次の事実に気づいていたのだろうか。もし仮に米国による核の先制使用が現実になったとき、戦争による史上2番目の被爆国を生んだ遠因は唯一の被爆国の首相にあるという事実、そしてそのために政治家以前に人間としての資質そのものを世界中の良心から指弾されつづけるという事実を…。
広島・長崎の被爆者の怒りや苦しみ、悲しみや痛みを自らのものとする心がわずかでも安倍首相にあれば、「核の先制不使用」に反対などけっしてできないはずだ。なによりも、1996年に国際司法裁判所が出した「核兵器の使用・威嚇は国際人道法に違反する」という国際社会の共通認識を、被爆国の首相だからこそ核保有国に対して叫びつづけるべきではないのか。
さまざまな力の結果、「核の先制不使用宣言」を撤回した米国は明年1月20日、核発射命令に不可欠な「認証コード」が入ったアタッシュケースをオバマからトランプに移す。側近や政府の主要ポストに強権的なタカ派を指名し、なかでも役割秘匿で新設される首席戦略官・上級顧間に「スーツを着たKKK」といわれる白人至上主義のレイシストで極右翼のスティーブン・バノンを指名した米国第45代大統領。
ゴルフのドライバーを手土産にトランプタワーを訪ねた安倍首相は、そのような次期大統領を「信頼できる指導者だ」と笑みを浮かべながら記者団に語った。
鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)
舞台中央には、やや傾斜したガジュマルの巨木が設置されている。冒頭、木の精霊(普天間かおり)が登場する。静かな幕開きである。しかし、一転して戦闘場面になる。爆撃音とともに走ってきた二人の兵士が、この大木に登り身を沈める。上官(山西惇)と新兵(松下洸平)である。そして、そのまま二年間を木の上で過ごすことになる。上官は本土出身で戦場の経験がある。新兵は生まれ育った島を守ろうと志願した若者である。敵軍の基地がつくられても降伏しないで、日本の軍人精神で耐えるのである。
こまつ座が上演した「木の上の軍隊」は、井上ひさしが生前に構想を持っていた(実は『月刊学習』に掲載された記事が基になっていた)が果たせなかった。が、演出の栗山民也が中心になり蓬莱竜太とともに戯曲を仕上げた。3年前に初演されている。
今回、山西が初演に続いて出演、渋い演技を見せていた。初参加の松下が好演、沖縄の方言をうまくこなしていたのは立派。前半部分では、二人の意思疎通のちぐはぐさなどがテンポよく展開され笑いを誘う。終盤になってくると、戦争が終結したことを知った動揺、不安な感情が横溢してくる。
まさに、人間性を犠牲にした戦争の悲惨さが浮き彫りにされてくる。実話と寓話の力で魅力ある作品となった。普天間は再演で追加された琉歌を透明感のある声で聞かせていた。
新宿・紀伊國屋サザンシアター、11月12日所見
安保法制(戦争法)施行のもと、航空自衛隊入間基地(入間市、狭山市)が急速に拡張・機能強化が進められている中、「安保法制の発動静すな!入間基地拡張ストップ!緑の森を守ろう! 11・20埼玉県集会」が20日、入間市の彩の森公園で開かれた。県内の労働組合、民主団体から3000人以上の参加者が「入間基地を自衛隊海外派遣の拠点にするな」「戦争いらない」と声を上げパレード(写真は佐藤氏撮影)を行った。
入間基地には、自衛隊の海外展開を見据えた新型輸送機C2の配備が公表されたほか、隣接する旧米軍基地の留保地には、海外の紛争で負傷した自衛隊員を治療するための自衛隊病院などの建設が計画されている。同基地ではC2輸送機の受け入れにあたり、給油設備の新設工事や誘導路の改修、管制塔の新設工事が進められている。さらに、海外で感染した自衛隊員を速やかに搬送し、治療を行うために1類感染症の研究を防衛医大で行うための予算措置を防衛省は講じている。
集会では、沖縄の翁長県知事の「沖縄県民は、一度たりとも、自らの意思で基地を提供したことはない」との発言が紹介された。埼玉県民も一度たりとも、自らの意思で基地を提供したことはないことを強調。未来を生きる人たちのニーズのために残された留保地を、海外での戦争拠点のために使うことを許してはならない! きっぱりとノ一の意思を示そうと呼びかけて集会は始まった。
冒頭、呼びかけ人の辻忠男氏(埼玉協同病院医師)、地元の「ストップ入間基地拡張!市民の会」の小川満世(みつとし)氏らが訴えた。日本共産党の塩川鉄也衆院議員、社民党県連の中島修副幹事長が挨拶をし、民進党と自由党もメッセージを寄せた。
塩川氏は「入間基地から殺し殺される海外の戦場に自衛隊員を送り出さないために、世論と運動を大きく広げよう」と呼びかけた。
参院会派「沖縄の風」の伊波洋一参院議員がゲストスピーチをし、「沖縄だけでなく、入間でも緑の森をつぶして新たな基地が作られようとしている。基地強化を許さず、憲法9条と平和を守る意思を示そう」と訴えた。
集会では、今後の取り組みとして次の3点が提起された。
@「自衛隊病院を考える」バンフを使って、大いに学習・宣伝・対話を広げよう
A貴重な森の伐採を許さないために、監視行動、要請行動を強めよう
B南スーダンに自衛隊を派遣するな、自衛隊員のいのちを守れ、の声を広げよう。
「戦争する国」へと暴走する安倍政権にストップをかけるため、力をあわせよう。参加者は集会後2コースに分かれパレードを行った。「基地の強化は許さない」「自衛隊員を殺してはならない」のコールに沿道の親子や学校のグランドの男子高校生が手を振る姿も。
所沢市から参加した女性(68)は、「最近基地の飛行機の騒音がひどくなり、テレビも聞こえないこともある。夜10時ぐらいに飛ぶことがある。今までと違うなと感じる。入間墓地が海外派遣の拠点にされるのは困るから」と参加の動機を語った。
南スーダンPK0(国連平和維持活動)に参加する陸上自衛隊第11次派遣隊のうち、第1陣となる約130人が20日午前、青森空港から出発した。
畑中 繁(世話人、牛沼在住)
所沢では2000年に所沢中央自動車教習所の4年5ヵ月にわたって闘われた解雇撤回闘争が解決しました。通常の解雇事件とは異なり、新旧経営者の主導権争いや、公安警察が副委員長の暴行事件をデッチあげ逮捕・起訴、そして77日間の拘留など長期の大掛かりな労働争議となりました。労働組合は地区労・東京自動車教習所労組、弁護士、救援会などの支援を受け奮闘により東京高裁で和解が成立しました。しかし、長谷川副支部長は有罪となり罰金刑が科せられました。
近年、国民救援会が冤罪で支援した主な事件をあげてみます。1967年、茨城県で起きた強盗殺人の市川事件で、犯人とされた桜井昌司、杉山卓男さんの二人は裁判で無期懲役が確定し服役、2009年再審が開始され、2011年水戸地方裁判所で無罪判決が下されました。
また、1961年、三重県名張市の毒ぶどう酒事件(映画『約束』)奥西勝さんは死刑判決が下りましたが第九次再審請求中の2015年10月、八王子医療刑務所で無念の獄死を致しました。
次に袴田事件ですが、この事件は1966年静岡県清水市の強盗殺人事件で、袴田巌さんは死刑が確定していましたが、冤罪を訴え続け、検察の証拠品の捏造から、2014年3月、静岡地裁(村山潜明裁判長)は、「極めて長期間、死刑の恐怖のもとで身柄を拘束され続けてきた。これ以上拘留を続けることは正義に反する」と指摘、死刑の執行と拘留の停止を命じ釈放されました。だが、静岡地検は即時抗告を申し立てて争う姿勢を示しているので、袴田さんは釈放されたとはいえ、いまだ死刑囚のままです。
今年8月東住吉事件の青木恵子さんと礼龍皓さんの無罪が確定しました。
この事件は大阪市住吉区で保険金を目当てに自宅に放火し、娘を殺害したとして、二人に無期懲役が確定していましたが、火災の原因が判明し、昨年10月、大阪高裁は再審開始を認め仮釈放中でした。
このように冤罪事件はまだまだあります。冤罪をなくすためには、まず一番に取り調べの全面可視化を実現させること。これが国民救援会の使命と思っています。
国民救援会合葬追悼運動と切り離せないのは「いしずえ会」です。合葬者の遺族の組織として各地域での合葬運動を支え、会員相互の親睦と交流をはかる活動を進めています。
日本国民救援会は、2年後、創立90年となります。現在、全国で100件余の事件(刑事・民事・弾圧・冤罪・労働)を支援しています。機関紙読者の皆様のご理解をお願い致します。(終了)
「氷河を見に行ってきました」と言うと、ヒマラヤですかと聞かれそうですね。実は長野県、それもトトロの耳のような双耳峰が家から見える鹿島槍ヶ岳で見つかった氷河です。
長い間、日本には氷河はないとされていましたが、富山県立山カルデラ砂防博物館による立山連峰の近年の氷河確認調査が行われ、2012年には富山県の立山で御前沢氷河、剣岳では三ノ窓氷河と小窓氷河が現役の氷河として確認されました。
さらに一昨年は、長野県の鹿島槍ヶ岳のカクネ里雪渓を埋める万年雪の下に厚さが33m以上で長さは700mに及ぶ氷体がある事が分かりました。氷河の特徴であるクレバスも、水が落ち込むムーランという穴もあります。最も肝心な流動観測は積雪を貫通して氷体に達する穴をあけ、そこに5mほどのポールを埋め込み、高精度のGPSで動きの有無を測定。流動量は年間2.5mと突き止めました。その他、積年の調査結果を照らし合わせて、今年、この氷の層は現役の氷河であることが確認されたのです。
白馬五竜スキー場のゴンドラでアルプス平に上り、積雪5pの道を地蔵の頭・一ノ瀬髪・ニノ瀬髪へ、さらに小遠見山まで2時間歩きました。ここで鹿島槍ヶ岳の北峰が垂直の北壁をこちらに向けて聳えているのを目の前に見ながら講義を受けました。詳しい説明をされたのは、カクネ里雪渓(氷河)学術調査団の飯田肇さん。立山カルデラ砂防博物館の学芸課長です。
「カクネ里の他にも氷河がありそうだと思われる場所がこの近くにあるのですが、スポンサーが見つからないので…」と、さらなる氷河発見の期待と調査の困難さもポツリ。
飯田さん、政府が提供する「軍学共同研究」に乗せられないでくださいね。
この貴重で楽しい体験は、北アルプス山岳ガイド協会主催の【鹿島槍ヶ岳カクネ里氷河探訪ツアー】に応募して得たものです。
原 緑
DVD「いのちの森高江」を見る(約1時間)
日 時:12月8日(木)13時30分から 無料
会 場:新所沢公民館学習室5号(新所沢西口歩10分公園前)
問合せ:佐藤(04−2942−3159)どなたでも参加できます。
11月24日、都心は、11月としては54年ぶりの初雪に見舞われました。秋から冬へ、季節の移ろいを実感させられました。
▼米大統領にトランプ氏
トランプ・ショックが世界を巡っています。日本に対し「米軍駐留費全額負担」「核武装容認」を発言したトランプ氏が、大方の予想を覆して当選。この結果をどう見るか、世話人会でも議論しましたが、確かなことは日米関係の根本的な見直しが求められていることです。
▼「入間基地拡張ストップ!」集会に3000人
「駆けつけ警護」など新たな任務が付与された自衛隊が南スーダンに派遣された11月20日、安保法制始動反対、野戦病院建設反対の集会が開催されました。地元入間の代表が挨拶、ヘリパッド建設で緊迫する沖縄の状況を伊波参議院議員が報告。私たちの会からも多数参加しました。
▼「いのちの森高江」(DVD)を見ます
11月の憲法カフェて「九条の会全国交流集会の記録」を見ました。新しく世話人になった方がたの気迫あふれるお話に元気をもらいました。次回は12月8日。自然豊かなやんばるの森と高江のたたかいをまとめたDVD。「素晴らしい、待ちに待った映画」「高江住民の思いがひしひしと伝わってきた」と大反響のドキュメンタリーです。お出かけください。
▼「9の日行動」
毎月9日、新所沢駅西口で16時から1時間、宣伝行動を行っています。ぜひ、ご参加ください。