機関紙133号 (2017年6月30日発行)
北村 肇(『週刊金曜日』発行人)
共謀罪が与党の滅茶苦茶な国会運営により強行採決されました。特定秘密保護法、戦争法に次ぐ暴挙で、もはやこの国の民主主義は風前のともしびです。こうした事態を前に、私たち市民は何を考え、何をしたらいいのでしょう。
三点につき、改めて考えてみます。まず、この法律の目的は何なのか。テロ対策がまやかしであることは露呈しています。とどのつまり、治安維持的な役割をもたせるための法律であると断定していいでしょう。それは、国会論議をみるだけでも明々白々です。ところが、まだまだ多くの市民にこの重要な事実が伝わっていません。私たちは、現代版治安維持法であることと、真実が広く伝わっていないことを常に頭の中に入れ、周辺に語りかけなくてはなりません。法律は憲法とは違います。ある意味で「簡単に」廃止できます。そのためには反共謀罪派を多数にする必要があります。遅くとも来年には総選挙です。
次に、過去の亡霊のような法律がなぜ蘇るのか、統治権力者はなぜ歴史に学ぼうとしないのか、です。首相である安倍晋三氏そのものが「皇国ニッポン」への郷愁を隠さないのをはじめ、時代錯誤な政治家や官僚はうじゃうじやいます。
でも、実は、彼ら/彼女らは「歴史を踏まえている」のです。ただし、それは「戦後」という歴史です。しかも、極めて歪んだ形で「学んで」います。憲法を中心にした、基本的人権を尊重する民主主義は大いなる間違いであった。それにより、「国家のためには我が身を捨てる覚悟」「国においては天皇、家においては父親を尊敬し、その指示に従う」という日本の美風が損なわれた。わがままが横行し、国の規範を守らない国民が増えた。これでは日本が滅びる。だから、戦後の歴史に学び、時計の針を戻そう---。
少なくとも1952年生まれの私の世代は、小学校でも中学校でも「二度と戦争を引き起こさないために、あの悲惨な歴史を学ばなくてはならない」と教わってきました。それはアジア・太平洋戦争にとどまらず、明治以降の日清・日露戦争にまで視野を広げ、戦争、とりわけ侵略戦争の愚かさに思いをいたすことを含んでいました。そして、背景には個々の良心や思想信条の自由が担保されない天皇制国家という存在があったことを、頭にたたきこんだのです。
しかし、まったく別の立ち位置から歴史を解釈した人々がいたわけです。上述したことを別の表現に変えれば---。日清・日露戦争は欧米列強の侵略からアジアを守る聖戦。その戦いに勝利できたのは、天皇のもとに国民が一致団結したからにほかならない。そこに立ち返れば、先の大戦の失敗を乗り越え、「世界の真ん中で輝く日本」になることができる。
冒頭に書いたように、共謀罪が、テロ対策ではなく治安維持を目的にした法律であることは論をまちません。統治権力者は「戦後に学んで」、市民の内心を取り締まる法が欠かせないと判断したのです。まさに確信犯です。
私たちは、安倍首相らが歴史歪曲主義者であることを再確認しなくてはなりません。来年の「明治維新150年」に向けて、政権側は国家主義的な策謀を次々と繰り出してくるでしょう。それに反対する人々を共謀罪で取り締まる。あるいは共謀罪をちらつかせて市民を萎縮させることが十分、予想されます。私たちは、こうした動きを見据え、一つ一つ漬していかなくてはなりません。それが、共謀罪を使わせない、さらには廃止するたたかいにつながっていくのです。
もう一点、みておくべきは、安倍首相は正しく歴史と向かい合えないだけではなく、「いま」も「未来」も学ぼうとしないことです。21世紀の世界を牛耳っているのはグローバル金融資本であり、彼らは国家を使ってあらゆる市民の奴隷化を図ろうとしています。
治安維持的な法律を国家につくらせるのは、奴隷化反対に立ち上がる市民を弾圧するためです。「皇国ニッポン」の復活を夢見てつくった法律が、結局はこの国の富を収奪しようとするグローバル金融資本の“武器”になるかもしれないのです。国家主義者を自認する安倍首相が実は「非国民」であるという、笑えない真実がそこにはあります。
私たち市民は、歴史を正しく解釈するとともに、この国の、そして世界の「いま」がどうなっているのか、「未来」はどうあるべきかということを、まだまだ続く共謀罪のたたかいの中で考えなくてはなりません。アナクロニズムの政治家に「日本」を任せるわけにはいかないのです。
行木恒雄(ジャーナリスト・椿峰在住)
議会制民主主義を破壊して「共謀罪法案」を参院で強行可決、成立させて暴走する安倍政権の最終目標は憲法9条の改正である。安倍改憲案は現行の1項「戦争放棄」と2項「戦力不保持と交戦権の否認」をそのまま残して、3項を追加、または「9条の二」を立てて自衛隊の存在を明記するというもの。この結果、2項が自衛隊を制約できず死文化され、自衛隊の活動が野放しになり、海外で集団的自衛権を全面的に行使する「戦争する自衛隊」になろう。私たちは9条を守るように装う安倍改憲にだまされず、9条破壊を許さない。
この際,改めて憲法9条に絞って考えてみた。
憲法9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
自民党改憲草案(要旨)
9条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、国防軍を保持する。国防軍は国際社会の平和と安全を確保するために国際社会と協調して行なわれる活動及び公の秩序を維持し、または国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
安倍改憲案
新3項または「9条の2」(参考) 自衛隊は我が国を防衛する必要最小限度の実力組織であり、前条(9条)の規定は自衛隊を設けることを妨げるものと解釈してはならない。
安倍首相はこの新しい改憲案を改憲派の集会でアピールしたが、世論の反対が強い自民党改憲草案の「2項の全面削除と国防軍創設」は棚上げし、自衛隊を明記して法的根拠を付与するという加憲に留めている。この安倍改憲案については、安倍応援団の改憲右翼「日本会議」系のシンクタンク「日本政策研究センター」の提案が先導しているようだ。(「これがわれらの憲法改正提案だ」)。
それによると、「2項はそのままにして、新たに第3項を設け、第2項が保持しないと定める『戦力』は別のものであるとして、国際法に基づく自衛隊の存在を明記する」という。従って、戦力不保持とする2項の制約が自衛隊に及ばず、死文化する。また、提案では「自衛権を担うのは国際法では戦力(=軍)」と説明しており、正規軍に近い形に変質させられる危険性もある。
ところで、最近のマスメディアの世論調査では、「自衛隊の存在明記」の賛成が目立つ。賛成が多いのは日経51%(反対36%)、読売53%(同35%)、産経55・4%(同36%)、共同通信56%(同34・1%)、NHK32%(同20%)など。反対が多いのは朝日44%(賛成41%)、毎日31%(同28%)などだが、賛否が拮抗している。かつて9条改正反対が圧倒的多数だったのに、今、「自衛隊明記賛成」が増えてきたのは注目すべき変化だ。この背景には @自衛隊が「専守防衛のための必要最小限度の実力組織」という従来の政府解釈が定着 A戦争法による限定的な集団的自衛権の行使可能という新しい解釈も9条2項が歯止めになっている B災害救助活動で期待と信頼が高まっている C北朝鮮や中国の軍拡が現実的な脅威となり、不安と緊張を高めている---などが指摘されよう。
改憲勢力はこのように自衛隊容認の世論が増えてきたため、改憲反対派を分断できると強気だ。安倍政権の続く間に、第一段階として自衛隊明記で改憲の突破口を開き、次に長期的視点に立って9条2項を削除して国防軍を創設する−−という改憲二段階論も出ている。
しかし、自衛隊明記賛成が「自衛隊を憲法上、単に追認するだけ」と考えているとすれば、危険である。9条破壊に直結するからである。
一方、首相提案を受けて自民党憲法改正推進本部は年内に改正原案をまとめるため、本格的な論議を始めた。「9条の政府解釈を変えず、自衛隊を明記する」というが、2項との整合性、自衛隊の任務など、どう条文化するか。一方、2項削除(国防軍の創設)にこだわる声も根強い。年明けから他党とも協議し、国会の憲法審査会で各党との合意が得られれば、来夏にも自・公・維3党の衆参両院議員の「3分の2」で発議し、国民投票にかけ、オリンピックの2020年施行を目指す。
自民党の具体的な改憲案を検討し、その危険性を訴え、世論を喚起しなければならない。民進、共産、自由、社民の4野党党首会談で合意した「安倍政権の下での9条改悪反対」を掲げて全国的な大運動を展開し、まず、国会発議を阻止する。共謀罪廃止の闘いとともに、来年の総選挙で、今度こそ安倍政権を倒さねばならない。
中川とき彦(書家・若松町在住〉
取り止めのない話になりますが、私は佐渡が島出身で今年古稀を迎えました。いつの間に…といった思いでおります。佐渡高校同年の長野雅子さんは、大学卒業後しばらくして佐渡に帰り、2006〜2016年の間「島の新聞」を100号まで刊行された。とても楽しい新聞で小生も又「ときの書」と題して拙作拙文を寄稿させて頂いていました。この頃創刊号から見直してたら2007年15号に、佐渡の金北山・妙見山はまさに「心のふるさと」そのような妙見山の頂上に巨大なレーダー基地の建設工事が今進行中である。今なぜ、何のため、誰のため…日本国憲法が変えられようとしている。と佐渡「九条の会」事務局長の弁。佐渡「九条の会」はこの9月1日に発足とある。2010年45号に、漱石の絵の先生であった津田青楓は佐渡へ昭和24年来島し、10日間滞在し、真野周辺のスケッチなどがある。と紹介されている。私はその真野町新町出身であるが、津田のスケッチは未見である。みてみたいものである。
さて、面に移ります。これを書くキッカケも又「島の新聞」の中で世阿弥と佐渡における能舞台をみてる折、この頃新聞テレビ等で紙面画面を揺るがしている加計学園と「面従腹背」の思いでしたと語る前川喜平前文部事務次官の座右の言が重なった。
中国古典名言事典(諸橋轍次著)を開くと「面従後言」「面従背否」はあるが面従腹背はみあたらなかった。面従して後言あることなし=面と向かってはこちらの意見に従いながら、影にまわっては不平や非難をいう。そのようなことはするなと舜が萬にいった言葉とある。
それはそれとして、前川さんが言うように上司の言に、顔では肯くも腹の中は承知できかねる。ということだろうと思うが、サラリーマンの辛い悲哀の心情が伝わってくる。
果たして佐渡の偉人、北一輝だったら何と言うだろうか!!「オロカモノ、タタカヘ」と雷が落ちてきそうだ。
鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)
いつの日か 森 智広
右手に持たせたペットボトルから
コップに水を注ぐ
ごく普通のことでも
右半身のマヒの身には大きなチャレンジ
二年前できるようになったけれど
自主トレ中心のリハビリのなかで
いつの間にか
右手は固く握りしめていた
ぼくのリハビリは
油断すると
ゆっくり後戻りする
わかっていても……
今度はずっと
続けられるよう
いつでも
手を組んでいよう
いつの日か
右手で
ビールを注ぎ
仲間と乾杯したい
(森智広詩集『あきらめ』から)
森智広詩集『あきらめない』のこと
詩集『あきらめない』(待望社・1500円)を出版した森智広さんは、所沢市下女松在住で、マスコミ文化九条の会所沢の会員の一人です。
彼は、2009年11月に脳出血で倒れ、1カ月間の意識不明で、右半身不随、言語も不自由になっていました。その彼が、懸命にリハビリに取り組みました。左手で文字や絵を書く訓練をはじめ、歩行訓練や機能回復を目指して努力をつづけてきました。鹿児島の病院でも訓練を受けるなど残された機能の可能性を追求してきました。
それから6年を経て、この詩集は誕生しました。リハビリの日々のなかから、その日、そのときの出来事をモチーフに書きためた作品がひとつにまとめられています。「あきらめない」心で、たえず前向きな思考、素直な表現に向日性を持っているのが特徴といえます。収録された作品35篇のほとんどが書き下ろし。書くことへの並々ならぬ意欲を感じさせてくれます。
原田みき子(沖縄県本部町在住)
6月15日は「共謀罪」法が強行採決された日だが、同じ15日、ジュネーブで開催中の国連人権理事会で、沖縄平和運動センターの山城博治議長が声明を発表した。この発言枠は、NG0「反差別国際運動」から譲り受けたもの。沖縄タイムスの報道に拠れば「市民は沖縄の軍事化に反対して毎日の抗議活動を行っている。日本政府はその市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣した。私は抗議活動の最中、微罪で逮捕され、その後2回さかのぼって逮捕され拘留は5ヵ月にも及び、その間家族と会うことも許されなかった。(中略)しかし、私も沖縄県民もこのような弾圧に屈しない。日本政府が人権侵害を止め、新しい軍事基地建設に反対する沖縄の人びとの民意を尊重することを求める」という内容で、終ると周囲の人びとが次々に握手を求めたという。地元スイス公共放送からインタビューの申し込みもあったそうだ。
翌日の国連欧州本部内で開かれたシンポジウムで、山城氏はさらに「運動は非暴力に徹し明るく陽気に続けている。正式な裁判手続きもなかった。悪性リンパ腫の元患者なのに主治医の受診もできず、再発の恐怖と向かいあった」ことも報告した。今後、日本政府の沖縄県民弾圧は広く世界に知られることになるだろうが、それでも安倍首相は「民主主義国家」「法治国家」と言い続けるだろうか。
さて、6月23日は沖縄戦で亡くなった方々のご冥福を祈る「慰霊の日」である。学校も職場も休みとなる。私が転居した18年前は、集落の子どもたちが公民館に集まって、紙の花を作って慰霊碑に飾った。転居したばかりで仕事のない私は、料理と司会と会計の仕事をもらい、前日から50人分の弁当作りに励んだ。調理法が分からず四苦八苦したが、近所の女性たちが応援してくれた。今では子どもたちが成長し、集落を離れたため、大人だけの静かな慰霊祭になってしまった。
今年も「慰霊の日」がまもなくやってくる。あちこちで「首相に来てほしくない」という声がもっぱらだ。去年の摩文仁(まぶに)の会場では、異様な警備の中で安倍首相に抗議の声を上げた県民が排除され、押し殺したブーイングの声が地鳴りのようだったという。
4月25日の工事着手以降、救急搬送されたり逮捕される高齢の女性が多くなった。機動隊員の暴力は日増しに酷くなり、私の両腕もあざだらけだ。スクラムを組んで座り込んでいるだけなのにやられる。一日も早く国際世論が沸き起こることを願う。
6月17日、新所沢公民館で「マスコミ・文化九条の会所沢」の講演と総会が開かれた。山本達夫さんが司会を務めた。冒頭、中原道夫代表委員は、開会の挨拶で、「私は1931年の生まれ、戦争を知っている世代として、その体験を残しておきたい思いで、詩を書いている。日本がだんだん怖い方向に向いているが、力をあわせて押し返したい」と、自作の詩を朗読して、戦争の戒めを訴えた。「いまこそ対話を」と題して、埼玉大名誉教授の暉峻淑子さんが講演を行った。会場には市内外から70人が参加し、暉峻さんの講演に耳を傾けた。
講演後に開かれた総会には40名の会員が参加した。佐藤俊広事務局長が「これからの活動について」報告、毎月行っている「9の日」行動、会報の発行、講演会、憲法カフェ、戦争法廃止2000万署名(2094筆達成)、基地ウオッチ、新春のつどい、入間基地集会、平和のための戦争展、9条連絡会などに取り組んできたことを報告した。
新たな段階に入った9条を巡る状況について、安倍内閣は「改憲」を本格化させ、「戦争をする国」を目指して、総仕上げに入るだろう。しかし、改憲反対、立憲主義回復、安保法制廃止の声は確実に高まり、さまざまな運動が取り組まれ、野党共闘を求める声も広がり、1日には、「野党共闘8区の会」が結成された。いまこそ、一人ひとりの対話が大事。私たちの会も第2ラウンドを果敢に闘いたい。と次のように提起した。
多彩な活動で、改憲を許さない市民の声を大きくするために @安倍「改憲」を学習し、改憲阻止の「意見交流会」を行う A会員一人ひとりが、憲法・9条への思いを市民に伝えよう B「会報」を充実し読者を増やし、「9の日」行動を工夫し、市民に広げる Cさまざまな関心・課題を取り上げ、「憲法カフェ」を充実させる D国民投票を視野に、説得力のある「チラシ」を作製し、多くの市民へ D「文化祭」(公民館)に参加し、文化団体・サークルとのつながりをつくる E入会呼びかけの新しいリーフレットをつくり、会員を増やす F固定化される米軍所沢通信基地を注視する Gメディア攻撃、マスコミ報道を注視し、批判・激励の声を届ける G運動の継続性を考え、新しい世話人を迎える H会員相互の親睦をはかり楽しく活動する H所沢9条連絡会、近隣9条の会、「守ろう憲法・オール所沢」連絡会などとの連携を強める。
「野党共闘8区の会」については、他の団体と、思いは同じだが、公民館の政治、宗教活動への制約もあり、特定の候補を推して運動することは、慎重にならざるを得ない。組織としては加わらずに、個人参加にとどめたいと提起した。佐藤事務局長による会計報告と、白戸由郎さんの会計監査報告が全員の拍手で承認された。
参加者からは、森友、加計、共謀罪みんな根っこは同じ、マスコミヘの注視がますます必要だ。イラク、南スーダンヘの派遣が論議不十分だ。「野党共闘8区の会」に組織加入すべきだ。米軍所沢通信基地が強化拡大されそうだ。これも注視してほしい。などの発言があった。
最後に草鹿光世代表委員は、「一人ひとりの小さな努力が、やがて世界を変える。9条の精神を市内の隅々まで、広げましょう」と呼びかけ、総会を終えた。
ご紹介頂きました、暉峻です。10年前に所沢で講演をしました。その時は小田実さんのピンチヒッターでわたしのところに依頼がありました。ピンチヒッターであることを会場には、言わなくてもいいと言われたのですが、私はピンチヒツターで来ました、だけど、塁に残る人が一人もないように、ホームランを打ちますから、と話をした思い出があります。
さきほど中原さんが話したように、この2、3日、私も日本に住んでいいのかしら、くらい、大きなショックを受けました。ここで出しているニュースは、丁寧に報じて、私も毎回読んでいます。ことの発端は周辺事態法にあったと思います。周辺事態法というのは、これまでは専守防衛であったものが、自衛隊が地球の裏側までも出て行って、米国の後方支援ができるようになった法律です。その時に集団的自衛権のことが政府・自民党には頭の中に入っている。ひとつひとつ外堀から、埋めていって、内堀も埋められて、さて、残るは憲法改悪の本丸に火槍を打ち込むように、弓を絞っていると思います。盛りそばとかけそばのことで少し時間がかかっていますが、やがてくるものは、覚悟して、こっちも、それに対して、戦う準備をしなくてはいけない、と思っています。
内堀が埋められているというのは、例の秘密保護法です。これは、私たちには知る権利があるわけですけど、それを国家が勝手に隠している。国家は見せられるものだけみせて、結局、のり弁といわれる、黒塗りの文章を出してくる。森友でもそうでした。よく私も行政に対して、情報公開を求めます。PK0いいこともしたのかなあということで、だんだん自衛隊に対して、皆が好意を持つようになってきて、そこを狙って、もう潮時という感じですね。安倍政権は実にうまいのです。横に真田幸村のような人が付いているのだろうと思っています。今度も加計学園のことで、もう逃げられないと思ったら、参議院の集中審議で謝るんです。慰安婦問題でも靖国にどんどん行くので、逆に米国が心配して、韓国、中国と仲が悪くなるのはよくない、と言い出したら、急に村山談話を引き継ぐ、とか河野談話を引き継ぐと口で言っておいて、やっていることは違うことをやっている。国民はみんな、おひとよしだから、口で言うと本当と思ってしまいます。いま支持率が高い(17日現在)のは、国民が次々に騙していくことに乗せられている部分がずいぶんあるのではないかと思います。
最後に共謀罪です。これは困ります。私も地域で7年間、小さな研究会を続けていて、この会の佐藤さんにも来てもらってお話を聴いたことがあります。そこでは対話的研究会といって、人数は10人くらいで、参加している人のあいだでも、いろいろな討論があるし、質問や討論を自由にする研究会です。その研究会をもし、受付の人が、あなたたちの研究会を警察の人が聞き込みに来ましたよ、と言ったら、参加する人は半分になります。つまり、共謀罪はそれを狙っています。市民運動を漬す。誰か一人でも、任意同行みたいになれば、それだけでも、なんか罪を犯したみたいに考えて、そういう研究会に参加することを後ろめたく感じることになります。共謀罪が通ったことで、準備段階から処罰できるわけですから、警察としては、聞き込みをやるわけです。あの研究会は参加しているかとか、所沢9条の会の集会を聞きに行っているかとか、そこに参加した人のひとりひとりのプライバシーを暴いて、交通違反があるかないかなど踏み込むと、私たちは萎縮をしてしまって、ただただ自分の家で今日のおかずはなんにしようとか、年金が足りるか、そういうことばかりに視野が向くようになります。それは日本の未来に対して、大きな打撃だと思います。(文責・編集部)(次号に続きます)
畑の一隅に勝手に生える「ほうずき」ですが、求める人があるので一応気を遣って育てています。その実は要らないのですが、外側を真っ白なレース状の姿に変身させます。それを額に入れ、後ろにLEDの小さな灯りをつけると、なかなか素敵な飾り物になります。もちろん、作るのは専門家です。
軽トラが止まってプップーとクラクションが鳴りました。お向かいの畑のYさんです。畑にいる時間の三分の一は通りかかった人を捕まえてはおしゃべりという御仁。「こんにちは。風邪が長引いてマスクをはずせないの」と挨拶。「だいたい風邪をひく人っちゅうのは、あれは食べないこれはダメと言う人が多いから、ほれ、野蒜もニンニクも嫌いなんて言ってないで…」と長話へのイントロが始まりました。
実家ではニンニクを食べる習慣はありませんでしたので「代々、食べていません。葷酒山門にではないけれど、ニンニクの匂いが玄関をくぐったことはありませんでしたよ」というと「そのDNAが風邪に弱い体質を作っている」と。
ニンニクは食べませんが、その子分のようならっきょうは毎年漬けます。昨年は手に入れそびれてYさんの畑のらっきょうを譲っていただきました。小粒でしたがけっこう上手にできたので、これに「U−mm我乍ら本舗」という手製のラベルを貼り、友人におすそ分けした次第です。今年は生協で早々に注文。2晩は塩漬け、そして3日目に甘酢に漬け込むという日程ですから、この3日間は家じゅうがらっきょう臭くなります。夜は窓も扉も少しずつ開けたままにして、明け方に閉めるという数日。朝の部屋の寒いこと。葷酒のせいで風邪は長引くのです。
ちなみにラベルの「U−mm我乍ら本舗」のU−mmは「う〜む」と読みます。Yさんの奥さんが作っている日本ミツバチの蜂蜜のビンには「自画自賛本舗」というラベルが貼ってあります。
原 緑
ようやく梅雨らしくなり、庭のアジサイも映えています。
▼庫峻淑子さんの講演、総会に70名参加
6月17日、新所沢公民館で行われた会には、会員44名を含む70名が参加しました。ご参加ありがとうございました。寄せられた講演の感想は「とてもいいお話が聞けてよかった」がほとんどでした。総会で提案し議論した「これからの活動について」「会計報告」も同封しましたので、ぜひご覧ください。
▼安倍改憲阻止の「意見交流会」
安倍改憲発言からまもなく2ヵ月。2020年の新憲法施行に向けて、改憲勢力の動きが活発です。「九条の会」は、6月20日、浦田一郎、渡辺治両氏を講師に、安倍改憲のねらいと危険性を明らかにする学習会を行いました。私たちの会としても、9月に、安倍改憲を学習し、今後のたたかいを話し合う「意見交流会」を行う予定です。詳しくは次号でお知らせします。
▼「共謀罪」を強行
森友・加計疑惑にふたをし、委員会採決をすっとばし、参議院で強行成立させた「共謀罪」。7月の世話人会で「共謀罪廃止」に向けたアピールを出す予定です。
▼自由メディアご案内
「Fma」というインディペンデント・メディアがあります。2012年4月に誕生し、5・3憲法集会やデモなど、市民運動や講演会などの動画配信を行っています。有益な情報を得ることができます。アクセスをおすすめします。