機関紙142号 (2018年5月8日発行)
北村 肇(『週刊金曜日』発行人)
ここまでメチャクチャな事態になり、激しい逆風が吹いているにもかかわらず、安倍政権の支持率はまだ30%台を維持しています。支持する理由では「他に適当な人がいない」が40%程度を占めるから、強固な支持層は2割もいないでしょう。それでも、いわゆるネトウヨの中には熱狂的な安倍ファンが存在します。なにしろ、森友・加計事件や防衛省の日報隠蔽を受けて、「この国の政府は反日だ。安倍首相ガンバレ」というツイートがされるほどです。彼ら/彼女らにとって安倍首相は一種のアイドルなのです。だから、どんなにスキャンダルにまみれようと守ってしまう。
総理大臣にはだれがふさわしいかという世論調査の結果をみると、上位3人はほぼ決まっています。安倍晋三首相、石破茂氏、そして小泉進次郎氏。現職総理と、有力な自民党総裁候補のひとりである石破氏は当然ですが、岸田文雄氏や野田聖子氏を大きく引き離す小泉氏の人気ぶりには目をみはります。いまのところ「選挙の顔」という面を除くと、これといった実績があるわけではありません。親の七光りとともに、さわやかさと歯切れの良さが、こちらもアイドルに押し上げているようにみえます。
一般論ですが、ファンにとってアイドルは日常的にふれあったり会話したりする間柄ではありません。いわば遠い存在です。ではアイドルは「公共領域」に存するのかといえば、必ずしもそうではない。たとえ手の届かない次元にいたとしても、ファンからすればアイドルは「自分のもの」、つまり極めて「私的な領域」に存在する(と思い込む)のです。
話を永田町に戻すと、アイドル化した政治家は政治の世界という最も公共領域にいるにもかかわらず、一部の有権者にとっては私的領域における存在となります。当然、政治家はこのことを利用します。無条件に受け入れてくれるファンが多ければ、どんなミスをしたって安定した地位を保てるのですから。安倍首相やその周辺がSNSを重視するのは理にかなっているのです。
政治家が市民の私的領域に入り込もうと腐心し積極的にアイドルを演じると、政治はどんどん劇場化します。いうまでもなく、その延長線上には倫理観を失った政治家による政治の私物化が生じます。彼らの中で、公共領域と私的領域の区別がつかなくなるのです。さらに見落としてはならないのが、アイドル政治家と有権者における「垂直の関係」です。これがつくられてしまうと、有権者同士が連帯して政治家を監視するという、民主主義にとって重要な「横の関係」が崩れます。ファンは自分のアイドルを批判する人たちを排除する。安倍首相と自分の縦の関係(幻想にすぎないのですが)を信じ、反安倍の人たちをすべて敵とみなすのです。容易に想像のつくことですが、このような状況は独裁者の生まれる素地ともなりかねません。
安倍首相は森友事件に関し、昭恵氏の証人喚問を断固として拒否しています。時代錯誤的に、「夫」が「妻」を守るのは当たり前と思っているのかもしれません。しかしことは公共領域の問題です。いかなる言い訳をしようと、閣議決定しようと、昭恵氏が私人であるわけがありません。首相たる安倍氏には、あくまでも私的領域の話であると主張する権限も権利もないのです。おそらく安倍氏は、公共領域に私的領域を持ち込むことへの違和感がないのでしょう。国政を私物化しているという意識もないようにみえます。ネットを中心にしてつくりあげたアイドルの立場に安住してしまったのではないかと思えます。
もしここで、有権者の力により安倍政権を倒せなければ、この国は引き返しのできない地点にまでいってしまう危険性があります。自立し、自律した市民がつくりあげてきた戦後民主主義の崩壊です。かりに、どこかの時点で石破氏や小泉氏が首相を引き継いだとしても、公的領域と私的領域があいまいになったままの政治が続けば、「安倍政治」は生き延びてしまうのです。いわずもがなですが、それは「壊憲」にもつながります。
政治家としての倫理観を持つ人間を育てるのは有権者の責務---このことがいま、私たち一人ひとりに厳しく突きつけられています。一刻も早く、「安倍政治」を打倒しましょう。
中川 とき彦(書家・若松町在住)
「山笑ふ」は、春の山の明るい感じをいう季語です。子規の句に「故郷やどちらを見ても山笑ふ」とあるが、3月27日、当時財務省理財局長・佐川宣寿氏の証人喚問をテレビでみていて、この句の「故郷や」を「モリカケや」にしてみた。
書棚に、松本清張の『現代官僚論』1・2・3が目に入り、取り出してみた。「公文書改ざん」が発覚された頃から、山口真由という財務省あがりのベッピンさんが、テレビのコメンテーターとしてよく登場するようになってきた。彼女もよく口にしていたが、清張の大蔵官僚論(1966)の中でも「大蔵省の役人は官僚中のエリート官僚だといわれている。戦前は外務官僚がその代表のようにいわれたが、戦後自主外交を喪失してからは、大蔵官僚がそのトップにのし上がった。学術優秀な志願者はみな大蔵省に集る。事実、他省の役人も大蔵省の人間にはひそかに劣等感を抱いているらしい。」
そんな東大卒の優秀者達は、変わり身の早さを彼らの身上としているらしい。
嗚呼!山は呵、呵、呵と笑っている。
山田 裕(北中在住)
安倍首相はおなかは弱いが心臓は滅法強い。もりかけ問題、漏洩問題、セクハラ問題、イラク日報問題などどこ吹く風と辞めるつもりは毛頭ないようである。今年の明治150年事業を自分の手で成功させたいらしい。50年の寺内正毅、100年の佐藤栄作に続き、山口県出身の首相として歴史に名を残したいのだ。佐藤栄作は「紀元節」を復活させるため「建国記念の日」を制定したが、安倍内閣は「明治節」を復活させようと「文化の日」を「明治の日」に改めようとしている。
明治時代を懐かしみ、戦前の天皇中心の日本を理想とする考えだ。戊辰戦争、西南戦争、日清戦争、日露戦争と戦争に明け暮れて植民地支配、民衆運動弾圧などの負の側面を忘れてはならない。
戦病死者のほとんどは、20代の若い兵士達だ。将軍達は帰国後日清戦争後は30人、日露戦争後は66人も華族になり子孫まで生活が保障された。
今年は「米騒動100年」にもあたる。川越や所沢では米などの安売りが行われ暴動があった記録はみつかっていない。
今年の31回所沢戦争展はミューズの5階展示室で8月11日、12日、13日で行う。戦後73年目で憲法改悪の話が現実味を帯びている今こそ戦争について考えていきたい。
原田 みき子(沖縄県本部町在住)
来る! 来る! 人が来る。どんどん坂を下って人が来る。「奇跡の1週間をつくろう」と呼びかけた運動が今日から始まった。朝8時にキャンプシュワブゲート前に着いたら、すでに100人以上の人が座り込んでいた。1回目の機動隊員による排除は9時に始まる。1時間以上前からみんな座り込んだのだ。9時になると、まず100台のダンプカーが現われる。ゲート前で止まり、機動隊員が市民を排除し終わるのを待って、基地の中に入っていく。最近は市民の数が30〜50人の日もあって、たちまち機動隊員に排除され、鉄柵の中に入れられ、ダンプカーが次つぎにゲートから入っていくのを、涙を飲んで見る日が続いていた。さらに私の住む本部町の港からはダンプ200台分の石材が搬出され、近々、2倍に量が増やされるという報道もある。まだ護岸工事だが7月には海への埋立て工事が始まり、土砂や石材が投下される予定だ。
「奇跡の1週間をつくろう」運動は、市民を増やすために企画された。毎日、500人は集まって、ダンプカーを入れない日をつくろうというものだ。中心のスタッフは普段本部町の港や砕石場でダンプカーの前に立って阻止行動をしているメンバーで、切迫した危機感の中からこの計画に至った。私も実行委員だが、7月まで2ヵ月しかない今、ゲート前に集まる人を増やさないと、アッという間に工事が進んでしまう。すでにジュゴンは姿を消して久しい。護岸工事のせいでどこかへ逃げてしまったのだろう。世界的な美しさを誇るサンゴ礁も傷つけられている。もう待てない。何かしないとみすみす美しい海を失い戦争のための巨大な軍事基地が造られてしまう。
初日の今日、最終的に700人の人が集まって、ダンプカーを午後2時半まで止めた。完全に止め切れなかったのは残念だが、これまで20分しか止められなかったのが、5時間半も止めたのである。300台以上入っていたダンプカーが3分の1の123台で終わった。「大」のつく成功ではないが、500人を超え700人集まったのは成功と言えるだろう。とにかく人がいないと運動ができない。非暴力で座り込むだけだが、ゲートをふさげばダンプカーは入れない。
課題も残った。30人の市民がケガを負った。人数の多さに焦ったのか機動隊員の排除の仕方が荒っぽく、ひざげりは当たり前、「デブ!」と怒鳴られた友人もいる。沖縄に暮らせば同じ運命であることを伝える言葉はないものか--考えてしまう。
植竹 しげ子(民族舞踊研究所主宰)
この4月から、稽古場を北秋津のさくら画廊から下山口のホームギャラリーふじわらに移して、踊りと体操の指導をしている。私の住まいは清瀬市である。清瀬の東側の下清戸から下山口まで1時間を超える時間をかけて自転車で通っている。ペタルをこぎ、緑の濃さを増しつつある若葉の風を受けながら、様々なことが頭をよぎる。
頭をよぎるその一つに、どうして私が踊りをやるようになったのか不思議に思うこともある。若いころ、踊りをやりたいという気持ちは、希薄だったように思う。人生のある時点で出会った人々が、なんとなくというより、それとなく私が踊りをするように仕向けてくれたように思えてならない。
二十代後半にさしかかった頃、同業者の先輩に「貴方は踊りが好きなようだから、やり続けることね。野暮用があって好きな踊りが出来たと言わないようにすること。私は文を書くのがすきだから、若い時から同人誌を出していたし、何かテーマを決めて本を書くわ。昔の女流作家たちは亭主をあの世に送ってから仕事をしたんだもの。住井すえ、しかり、神近市子しかり」と彼女は自分に言い聞かせるように私にアドバイスをしてくれた、今は亡きTさん。その言葉が頭から離れたことはない。
とかく思うようにいかないのが世の常ではあるが、自分だけの努力で以前よりなんとかなる世界を持つことが大事だと、昭和から平成に移る頃、生涯学習の大切さが論じられていた。幸い踊りに導いてくれたTさんをはじめ、ホームギャラリーの藤原氏など多くの人々のアドバイスや援助に対して有難く思う。
話は変わるが、セクハラの問題がマスコミを賑わしているが、「人間の愛の形は、結婚という制度が主流を占めているだけで、あれこれ目くじらたてる程のことでもないのよ。まだ平成の時代の人々の考えもたかが知れているわね」とあの世で茶飲み友だちと話しているに違いない。
持丸 邦子(山口在住 会代表)
3月7日〜11日、ベトナム・ハノイを訪ねた。昼間25度、朝晩は12〜3度。ハノイの人々の服装は半袖からオーバーコートまで様々で、「四季があり、数本に1本は紅葉します」というガイドさんの説明。温暖化が進めば、日本の姿だ。
ベトナム王朝の遺跡で見たベトナム戦争時代の地下司令室が印象に残る。置かれている電話機の形はそう古くない。そう言えば、ホーチミンでは、枯れ葉剤被害の野外写真展をしていたなあ。ハノイの郊外に広がる田園地帯にも“北爆”があったかも。ベトナム戦争が終わったのは大学卒業の頃か。高校生の時に『ベトナム観光公社』という本を読んだなあ、等々。
大学3年のときは語学研修で初めてのアメリカへ。その生活水準の高さにアメリカへの憧れはますます高まり、卒業後はOLを満喫し、2度目の職場は米系企業。結婚・出産後はアメリカに1年弱住み、帰国後10年は米国ロスが続き、北爆機が沖縄の米軍基地から出撃したことに無知な10代〜30代だった。アメリカへの幻想は2011年同時多発テロまで続いた。
そのアメリカ社会は、今、後退し続けている。民主主義も、生活も。最低賃金が800円以下。若者が留学先として、アメリカを選ばなくなっているのも道理。今年、OECDは、世界の人々が、経済活動の活発なアジアへ向かっているという報告を出した。日本もアジアの一員。アジアの若者が、かつて日本の若者がアメリカに抱いたような幻想を抱いて日本にやってくる。
オスプレイの横田基地配備を前倒しする安倍政権は、「武力が国際紛争を解決する」と先祖返りした対外政策を信奉し、北朝鮮に拉致された人々を見捨て、首相の祖父の名誉回復のために、国民の犠牲など厭わない、日本国憲法無視のでたらめ政権だ。アジアの若者も、いずれ幻想から目覚めるだろう。
民主主義のあらゆる手段を駆使して、首相にNOを突き付け、日本の後退を守らねば。
鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)
杉浦久幸と門岡瞳の二人だけの「劇団もっきりや」が30回目の公演「アラクネの恋--昨日まで傍観者だった貴方に」を上演した。これまでと同様に杉浦の作・演出。共演者五人を迎えての1時間半の舞台であった。シュールな世界を思わせながら、現実の人間関係の痛ましさを覗かせる巧みな構成である。
「アラクネ」とはギリシャ神話の神様によって蜘蛛の化身に変えられた織女。ということを解説で知った。したがって、目に見えない「神様」が関わっている設定。時は現代、ありふれた街には「神様」がいて、街の片隅に「先生」と呼ばれる浮浪者がいた。この「先生」を中心に物語は展開していく。
サクタ先生は元・高校の美術教師。かつての教え子のヒナドリはすでに自殺していたが先生だけには見える存在。もうひとりの教え子ねえさんことアラクネをめぐって、先生とヒナドリが三角関係であったことがわかる。アラクネの妹ヒイラギや、その夫のトチヲなどの登場で、アラクネは認知症状態になっているが、先生との再会をさせる行動に出る。
舞台セットは簡潔ながら、途中から色彩豊富な織り糸が設定されるなどの工夫がある。幽霊になっているヒナドリを杉浦が、織子になったアラクネを門岡が、気弱な老人に先生を石渡孝がそれぞれに好演、浮浪者仲間の石出勇騎、ヒイラギの中路美也子らが若い力を発揮、「説明的なせりふを省いた」という作家の意図によく応えていた。
=南阿佐谷・かもめ座、4月19日所見=
伏木野 静代(山口在住)
安倍首相は4月21日、新宿御苑で開かれた「桜を見る会」に昭恵夫人と出席し、「行政の信頼を揺るがす事態に責任を痛感し、徹底的に調査し、全容を明らかにしてウミを出し切って組織を立て直す決意だ」と述べました。こんなことを平然と言うことに怒りを憶えます。
ウソをついて1年間も国会を空転させ、抗議するデモに対し、必要以上の警備をして税金をムダ使いした張本人がよく言いますよ。私はともかく安倍首相には即刻辞めてもらいたい。辞める時はとっくに過ぎているのにあまりの鈍感さに心ある国民は呆れています。
冬が寒かったり、4月に雨が少ない年は、夏が暑くなるそうです。私は小・中学校のエアコンのことが心配です。所沢市はエアコン調査費を計上すると1月5日の「新春のつどい」で市長が発言したそうですが(日本共産党市政ニュース3月8日付け)、私は1日も早く設置して欲しいと願っています。夏は待ってくれません。なんでもっと急がないのでしょうか。一刻も早く設置して下さい。
ところで、私は「クールジャパン構想推進事業」なるものが、とても気になります。子どもたちのエアコン設置にグズグズしているのに、なんでクールジャパンにこんなに熱心なのかしら? 2016年8月の「広報ところざわ」には、2014年1月、浄化センター跡地の解体を含めた売却先を公募した際、約33億円を提示した「カドカワ」に売却を決定したとあります。そして、さくらタウンを建設、運営し、期待される効果として、雇用の増大、にぎわいなどの経済効果で年間集客が70万〜100万人と書いてあります。3月の日本共産党の市議会報告をみると、さくらタウン構想に16億円の支出とあります。広げた風呂敷が大きく、この市の行政、本当に大丈夫なの。これって、モリ・カケの所沢版ではないのですか。
ちなみに各地の年間来訪者数を調べてみました。筑波山200万人(2016年)、有馬温泉160万人(2月3日、NHKブラタモリ)、リオのカーニバル120万人(2月17日、ニュースキャスター)、モリジブ120万人(2018TV)、蔵王スキー場40万人(2月5日、NHKニュース)、鳥取の金持神社20万人(宝くじがよく当たるとか、4月13日、TBSニュース)、茨城のヒナ人形10万人、別格ですが、川越は600万人、鎌倉は2200万人だそうです。
堀内 洋子(下富在住)
昭和6年生まれ、87歳です。憲法9条は、昔から絶対に守るべきと強く思ってきました。どうしてこんな世の中になってしまったのでしょうか。悔しいです。足は大分弱ってしまいましたが、口は大丈夫ですから頑張りたいです。娘も大変曲がったことは大嫌いで、私も大いに刺激されています。平和憲法をまもるため、みなさまに学びながら、力のあるかぎり、頑張りたいと思います。
〔堀内さんは娘・平野俊子さんのすすめで3月に入会されました。4月14日、国会前で行われたキャンドルを掲げる抗議行動に参加。そこで澤地久枝さんからいただいた「アベ政治を許さない」ポスターを自宅の塀に貼りました。しかし2日後、ポスターは何者かによってはがされ、大きな衝撃を受けました。現在、夫(88歳)の協力を得て、はがされないよう工夫した新しいポスターを準備しています〕
原田 勤(清瀬市在住)
冬には囲炉裏端でリョウのオヤジの武勇伝に心躍らせた。関東軍の掃討作戦。「農家でな、カメの蓋開けたら、チャンコロがタスケテクダサイと。立ち上がったところを一突きじゃ」。小学校に上がった昭和30年代初めである。
中学3年の年にはドラマ「人間の条件」があった。初年兵をかばう加藤剛扮する梶に自分を重ねた私のオヤジは「あそこまではできなんだ」と悔やんだ。
いま父の言葉が残る。これを崩す勢力には抗わんと思う。
雑草が一面に花を咲かせています。クローバー・ヒメオドリコソウ・ホトケノザ・イヌフグリ・スミレ、そんなありふれた雑草でも群落となると本当に美しく、これを刈ってしまうのかとため息交じりで仕事にかかりました。すると点々と広がって行く何か不自然な動きが目に入りました。
うわー、どうしたの。親指の爪ほどの大きさの雨蛙の集団が嬉々として遠出を試みていたのです。その数、18、19、もっと?
「そんなに好き勝手に跳んで行ってしまったら、お家へ帰れなくなるでしょうに」と小言を言いながら、もしかして彼らは今、こんなに小さな体で大自然を相手に命を懸けた旅を始めたのかと、胸の痛んだことでした。
雨蛙は体の色を自在に変えます。その完成度の高い技には言葉もありません。枯れ枝を燃やした灰の中からは白灰色の蛙、燃え残りの枝の下にいたのは黒いまだら模様があり、石ころの間にはその石と瓜二つの蛙。イヌフグリの水色の花むらから出てきたターコイスブルーの蛙にはびっくりさせられました。
そして彼らは実に何処にでもいます。物干し竿を止めるクリップの隙間で3日も同じ姿勢で沈思黙考の蛙。毎日、夜になると居間で歌っていたのは、アルミサッシと鴨居の隙間で運よく難を逃れていました。一大ショックを受けたのは、玄関の柱との間でドアに押しつぶされたままカラカラに乾燥していた蛙です。目玉の抜けたその蛙は、2ミリほどの厚さの実物大。プラスチック製のキーホルダーみたいで、つい、『かっぱのめだま』という民話を思い出してしまいました。
甲羅にお天道様を当てて三日か四日、もしかしたら十日くらい、頑張りぬいた暁には晴れて人間になれると商人に教えられたカッパ。しなびて乾いて、とうとう岩のくぼみに目玉だけとなってニカニカと笑っていたのです。
この“乾燥雨蛙”のあまりにも見事な造形に手離しがたく、写真を撮ってから埋めました。写真は、ほらね、と人に見せる度に悪趣味だと言われ、《削除》と相成りました。
原 緑
米空軍の特殊作戦機CV22オスプレイ5機が4月5日、午前11時半ごろ、首都・東京にある在日米軍横田基地に初めて到着した。2019年10月からの配備の予定を1年以上前倒し、米軍が3日に突然発表してから、わずか2日後に飛来したことに、周辺住民らは抗議の声を上げた。
3日夕に横浜市の米陸軍「横浜ノース・ドック」に貨物船で運ばれ陸揚げされた5機のCV22は、5日午前に相次いで離陸。5機編隊飛行で横田基地南側から姿を現し、滑走路北から次々に着陸した。
横田基地周辺では、住民団体が、「いつ墜落するかと思うと怖い」と、オスプレイ配備反対、基地撤去などを訴え宣伝したあと、防衛省北関東防衛局に強く抗議をした。
オスプレイは、米連邦航空局の耐空証明(安全基準の適合証明)を得ていないうえ、エンジン停止時の自動回転(オートローテーション)機能を事実上持たず、日本の航空法では飛行してはならない軍用機である。沖縄・普天間基地に配備されたCV22オスプレイは、墜落、緊急着陸、部品落下事故などを頻発させ、配備以来の重大事故率は倍増し、海兵隊航空機の平均事故率を上回っている。
今回、横田に配備されるCV22に至っては、無法な敵地侵入、夜間強襲、暗殺、拉致などの特殊作戦任務を持っているため、激しい夜間超低空飛行訓練などを必須とし、防衛省白身、「特殊作戦という独特の任務所要のため、より過酷な条件下で訓練活動を実施」するので、事故率がMV22を上回ることを認めている。4月25日には2機のCV22が奄美空港に緊急着陸をした。
これまでもMV22オスプレイは、米軍横田基地、厚木基地に飛来する際、必ず埼玉上空を飛行してきた。昨年3月の日米共同訓練「フォレストライト」や、今年1月の訓練では、埼玉県内の30市町の上空で、目的外訓練までおこなっていたことも、埼玉県平和委員会の調査で明らかになっている。CV22が横田に配備されれば、人口が密集する東京や埼玉の上空を飛行することが常態化することは明らかだ。
MV22よりも危険性が高いCV22の横田配備は、東京都民はもとより、埼玉県民を含めた周辺のすべての市民の平和的生存権を脅かすものであり、断じて許されない。(葛西)
基地の周辺にたくさんの保育園、幼稚園、小・中学校、高校・大学・特別支援学校があることは一目瞭然だ。オスプレイは日本の航空法では飛行できない機種(米国の航空法でも同じ)であり、 あまりの危険性に普天間飛行場では、高級将校の自宅上空の飛行は差し控えているという。ハワイの住宅地の上空も飛んではいない。
そのオスプレイが住宅密集地の横田基地へこともあろうに10機の配備を目指している。
ヘリが基地に着陸するには、回り込む飛行経路を取るのがよくあることで、東側からの経路を取れば、所沢市の上空飛行も当然、視野に入れなければならない。「断ります」と言えない、安倍政権には辞めてもらうしかない。
新緑が映える、さわやかな季節となりました。
▼憲法集会に6万人、署名は1350万に
憲法記念日の5月3日、全国各地で集会やデモなどが行われました。東京・有明防災公園の「9条改憲NO! 平和といのちと人権を!」集会には昨年を上回る6万人が参加。安倍政権を葬り去ろうと気勢を上げました。また、「3000万」を目標に取り組んでいる署名が1350万に達したことが報告されました。
▼安倍首相を退陣に追い込みましょう
改ざん、隠ぺい、ねつ造、セクハラ‥。民主主義、国民主権が脅かされる異常事態が続いています。麻生財務相の辞任や柳瀬元首相補佐官の証人喚問を拒否し、野党欠席のもとでの国会審議の強行は許されません。「うみを出し切る」と安倍首相は言いますが、うみの根源である自身の退陣が求められています。安保法制、「共謀罪法」など憲法違反を強行してきた首相に、改憲を語る資格はありません。市民の声を大きくし、改憲に固執する安倍首相を退陣に追い込みましょう。
▼署名は現在530筆、第3次集約は5月20日
私たちの会の署名集約数は530筆、諸団体の取り組みで所沢では約2万筆集まっています。署名お済みでない方、署名済みの用紙をお持ちの方は、早急に世話人までお届け下さい。
▼「総会」を7月初めに予定
日時、講演など詳しくは次号でお知らせします。