機関紙147号 (2018年10月4日発行)
原田 勤(ジャーナリスト)
アメリカはついに首都東京の上空で暗殺、拉致、強襲の特殊作戦訓練を実施に移す。住民の反応を見ながら訓練をエスカレートさせていく方針だ。兵員らを乗せる空軍仕様のオスプレイが拠点の横田基地に10月1日から5機配備される。5年余り後の2024年までに10機態勢とし、部隊要員も450人まで膨れ上がらせる。
超低空飛行で爆音を立て、場合によっては訓練と称してオスプレイの中から市民に銃を向けるアメリカ兵の姿を目にする人が出るかもしれない。米軍所沢通信基地には7月2日に着陸したことが確認されているが、今後も飛来の可能性がある。
CV22オスプレイ横田配備は一般紙や赤旗、テレビなどで報道されてきた。この会報ではこのほど放映されたテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー(コメンテーターは沖縄国際大学大学院教授前泊博盛さん、ジャーナリスト青木理さん、テレビ朝日社員玉川徹さん)」と東京平和委員会発行のオスプレイ特集を参考にまとめた。なお会報はテレビ朝日から番組資料の使用許可を得ている。
なぜ横田基地配備なのか。前泊さんは言う。
@首都直下地震の際にアメリカの要人たちを脱出させる準備ではないか
A欠陥が多くなかなか使ってもらえないオスプレイが日本では大東京の上空を飛べば大変なアピール。
羽鳥キャスターらが調べた防衛省の見解は、@日米同盟の抑止力の向上 A大規模災害時の活動に有益 B横田は整備施設やスペースがある……。このうち「抑止力」について前泊さんは「沖縄普天間基地に24機配備された時、尖閣問題も解決できると政府は言ったが、尖閣への中国軍艦の数は増えこそすれ減ってはいない」と否定した。また、「大規模災害時に有益」とあるが、誰にとって有益なのかは明記されていない。そもそも任務が違うのだ。
垂直に上昇してプロペラを前方に転換し水平に飛ぶ。この切り替えに失敗して墜落する事故が多発してきた。前泊さんは、上昇には大きなプロペラが必要だが、小さくして高速回転で浮力を得ようとしているためエンジンに不具合が生じやすいという構造的な欠陥を持つと指摘する。転換時の加速が飛行速度に達していないと失速、これが事故となる。
防衛省発表の基地周辺の訓練ルートでは基地から上がったオスプレイは住宅上空で転換する。羽鳥さんは「周辺は高速道路、JR、私鉄、またこの地域では学校が200以上あります。下は街です。住宅密集地です」と紹介した。
「そうか、横田大変だなあと思っていたら違います」と主な飛行先を挙げた。横田から群馬・新潟・長野にまたがる空域、青森の三沢対地射爆撃場、山梨の北富士演習場、沖縄の訓練基地だ。
都心はどうか。六本木にヘリポートがある。ここに向け横田基地から立川、国分寺、小金井、三鷹、さらに杉並、世田谷、渋谷の上空を飛んで行く。六本木にはニューサンノー米軍センターがあるからだ。前泊さんによると「ここで2週間に1度日米合同委員会が開かれる。横田から参加する軍幹部が日常的にオスプレイを使う可能性」を挙げた。
また、玉川さんは、同じヘリポート(テレビ朝日の北隣)にアメリカ軍の準機関紙「スターアンドストライブ」のヘリがよく飛んで来ていると紹介。これがオスプレイに変わると、規定ルートを外れ、都心部の上空を縦横無尽に飛び回るのではないかとした。
*本会報は、飛行先の「群馬・新潟・長野にまたがる空域」と六本木ヘリポートを地図上で結んでみた。3県の接点へ飛ぶ場合は所沢市の東部をかすめ、西側の長野方面を目指せば所沢の中心部を通過することがわかった。
米軍機の窓が昨年12月小学校の校庭に落ち大きな問題となった。飛行自粛要請は無視されている。この問題を青木さんが取り上げた。
基地に隣り合う普天間第二小学校では、上空を米軍機が飛んだ場合は児童を校庭から避難させることになった。「この1学期で455回、71日間だから1日6・4回避難している計算だ。これが首都圏でも起き始めるかもしれない」。
開発段階から現在までに11回墜落し、41人の乗員が死亡した。このため「空飛ぶ棺桶」「未亡人製造機」との異名をもつオスプレイの特殊任務は何か。
東京平和委員会によると、敵の支配地域に侵入して要人の暗殺、拉致などの強襲作戦だ。そのために夜間でも山間部に特殊部隊を投入・回収できるよう、低空で飛行できる地形追随レーダーや、敵のミサイル追跡をかく乱する電子妨害装置などを備えている。訓練マニュアル(CV22「作戦手順」)には敵の攻撃を回避するために高度60〜330bでの超低空飛行訓練を行うことが明記されている。
このマニュアルが実施されているのか、青木さんは次の話をした。
「沖縄の高江訓練場ではわざわざ家のある所を飛ぶ。住民たちの話では乗っている兵士が銃を向けていると。これを戦争でのゲリラ対策と考えると、家の上空を飛ぶことが訓練になっている」
ただ、この間の戦争をみると攻撃目標は山間部とは限らないのではないか。イラク、シリア、パレスチナなどは都市部が戦場となっている。攻撃目標が敵の中枢部だとすれば、都内の建物は訓練対象になりうるのではないか。
では危険な飛行の制限は?「できません。どこでも飛べます。『日米地位協定』があるからです」と羽鳥キャスターが紹介した。
前泊さんによると、米軍は在日米軍施設を自由に好きな時、好きなだけ使える。これを保証したのが、1960年に締結された日米安保条約の日米地位協定だと言う。
日本の航空法には高さ制限がある。人口密集地では最も高い建物から300b、それ以外の所でも150bより下は飛ぶことを禁止している。この制限を受けないことを「日米地位協定と国連軍地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」で保証しているのだ。
一方、本国アメリカでは国内法でオスプレイは住宅街の上空などを飛ぶことを禁じている。
前泊さんは沖縄でも全く飛ばない空白エリアがあると指摘する。アメリカ軍関係者の住宅エリアだ。「沖縄でもアメリカの国内法を適用してアメリカの人たちが住んでいる所は守られている」と話す。
<「事故が起きたら」は次号に掲載予定です>
行木 恒雄(ジャーナリスト)
安倍晋三首相(総裁)の自民党総裁3選が決まったが、これは安倍一強独裁の「終わりの始まり」である。憲法9条に自衛隊を明記して戦争できる体制を作る安倍首相の悲願を達成するため、10月からの臨時国会に自民党の改憲原案を提出し、来年の通常国会で発議して国民投票へ持ち込む意気込みだ。しかし、世論の多くは「改憲を急ぐ必要なし」とあって、安倍政権が改憲を焦って暴走すれば、私たちの「国会発議阻止」運動の前に立往生して改憲ストップ、来年の参院選で惨敗という墓穴を掘ることになろう。
安倍総裁最後の任期は21年9月までの3年で、この間に改憲手続きを完了して、オリンピックの20年に改正憲法を施行するという。まず「安倍9条改憲」の危険性を見ておこう。国会の憲法審査会に提出する自民党改憲原案の条文素案は次の通りーー
現行の9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持と交戦権否認)は維持し、新たに「9条の2」を設ける。
9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国および国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
この「9条の2」で「自衛隊保持」を明記したことで、「後法が前法に優先する」という立法の原則から、前条2項の規定(戦力不保持と交戦権否認)が空文化、死文化する。安保法制(戦争法)で限定的に容認した集団的自衛権の行使が、憲法で「自衛の措置を妨げず」として全面的に認められ、海外で無制限に武力行使する道が開ける。歴代政府の見解だった専守防衛のための「必要最小限度…」との文言も削除されるため、自衛隊の役割や権限が拡大し、普通の軍隊として装備も増強され、歯止めなく肥大化する。
12年の自民党改憲草案では9条2項を削除して「国防軍を創設」としているが、これでは世論の反対が強く、国民投票で過半数を獲得できそうにないとの情勢判断から「自衛隊明記」に留めた。公明党の自衛隊加憲論にも配慮したという。しかし、自衛隊が実質的に戦争できる軍隊となり、いずれ「2項削除」という2段階の改憲を考えているだけに、騙されてはならない。
現在、衆参両院で改憲派政党の自民、公明、維新、希望が改憲発議に必要な「3分の2議席」を確保しているので、来年7月の参院選挙までに改憲発議させたいとしている。参院選の結果、「3分の2議席」を失う恐れがあるからだ。しかも来年は4月に統一地方選、皇位継承、G20サミット、7月参院選、10月の消費税10%へ引き上げ……過密な政治スケジュールとあって、年明けの通常国会の3月末までが発議の可能性が高い。
しかし、自民党にとっての関門は衆参両院の憲法審査会だ。野党の立民、共産、社民などが9条改憲に反対して抵抗するため、与野党合意を原則とする審査会の運営が難航し、開店休業に陥るだろう。与党の公明党も地方選や参院選を控えて慎重で、山口代表は「世論調査だと、政治課題としては改憲の優先順位は低く、世論が熟していない。自民党の対応を見守りたい」と消極的だ。安倍首相は「公明党とも調整したい」と期待し、何らかの妥協策を探る。
自民党内にも参院選を控えて「改憲どころではない」との声もある。総裁選で善戦した石破元幹事長は改憲論者だが、党内議論が進んでいないとして「発議は時期尚早」と主張。また石破氏や小泉筆頭副幹事長などが党内の異なる意見への抑圧体質を批判するなど、党員の不満も膨らんでいる。内外に難問山積のため、安倍一強は一枚岩ではない。
一方、最近の世論調査でも、自民党改憲案について「秋の臨時国会への提出を急ぐべきでない」が68%(日経)、「提出反対」が51%(共同通信)。首相が大きな力を持つ「安倍一強は問題だ」が57・4%(同)と厳しく批判。私たちは改憲反対の世論を味方に、「安倍9条改憲NO!3000万署名」の力で国会発議を阻止し、安倍内閣退陣へと追い込みたい。
ところで、来春の改憲発議が不発に終わっても、安倍首相は諦めず、参院選を改憲是非の決戦場とするだろう。私たちにとって改憲政党に「3分の2議席」を獲得させず、改憲の野望を粉砕する最後のチャンスである。それだけに市民と野党の選挙共闘がこれまでになく重要である。
原田みき子(沖縄県本部町在住)
知事選真っただ中である。期日前投票も始まった。友人が「スマホで候補者名を記入した投票用紙を撮影する人がいるらしくて問題になっているよ。どこかに送って報酬をもらっているのだろうか」と話し、不審に思っていた矢先、沖縄タイムス紙に「投票所撮影禁止徹底を、弁護士ら県選管に要請」の見出しで以下の内容の記事が載った。
「特定の候補に投票したことを明らかにするため、投票用紙に候補者名を記載した場面を撮影させて報告を求める企業があるとの情報がネット上で流れている。有権者の投票の自由や投票の秘密を侵害する事態なので、沖縄弁護士会所属の有志が県選管に対して、県知事選の投票所での写真撮影や録音・録画などの禁止の告知を徹底するよう要請した(一部略)」(9月21日)
この要請に対し、県選管は「公職選挙法では投票所での写真撮影の禁止は明記されていないが、撮影によって投票者間でトラブルが発生する懸念もある。投票所内の秩序維持のために、投票者になるべく撮影を控えるよう市町村選管に注意喚起したい」と答えている。市民から「違反ではないか」「厳重に注意して」などの電話やメールが届いていることも明らかにした。
由々しき事態である。とうとうここまできたか……と慄然とする。大田昌秀元県知事が負けたときにも期日前投票が問題になった。基地工事で成長した企業数社が投票所の近くに机を並べて、投票者に名前を記載させた。各社それぞれ名簿を作成し、投票数を把握したのである。辺野古の新基地を造るため、政府は知事選で勝たなければならない。そのため容認する企業に期日前投票で数を獲得することを厳命しているのだろう。各社は競って運動を展開する。もしノルマに達しなければ、政府から仕事を切られることもあるのだろう。16年前の名護市長選では、このノルマに耐え切れなくて病気になった社長もいた。
那覇市の容認候補の選対事務所には3人の政府高官が常駐して指揮している。菅官房長官もひんぱんに来沖して企業回りを徹底している。まさに恥も外聞もない。沖縄では何をやってもいいのか。呆れて言葉も出ない。
直前の2月の名護市長選でこの手法で勝ったから、知事選ではさらに強化して臨んでいるのだろう。期日前投票所に人を運ぶスタッフは県外から来る宗教団体と言われる。今回は7000人来ているそうだ。「平和の党」を看板にしながら、やっていることは戦争のための軍事基地造りだ。何が平和の党だと言いたい。(9月21日記)
中嶋 里美(元市議)
私が初めて所沢駅に降りたのは24歳の夏の終わりであった。
今から55年前になるが駅舎はひなびた平屋であった。私は道を聞きながら25分位かけて所沢高校に到着した。
女の先生が流産の不安から急に退職することになったので後任になってもらえないかという関根五郎治校長からの要請であった。
私は職員室や洗面所をみてなんと田舎の学校なのだろうかと思った。職員室には練炭の入っている火鉢のようなものの上にお湯がかけられていた。
その日、私は丸ノ内の皇居前の明治生命ビルのオフィスからここに来たのだった。瞬間湯沸器や水洗トイレはあたりまえのものだった。
私が何故、所沢の校長に会いにきたかというと、それは深いわけがある。
小中高の学生時代は男子とも楽しく対等に過ごしたのに一旦会社に入ると両者の間には厳然たる差別があった。仕事の内容にも賃金、昇格にも差があった。労働組合の中でそれを訴えても役員の多くが男でなかなか聞いてもらえなかった。そういう職場には長くはいられないと思い、私は働きながら夜間大学に通った。教育実習も夜間高校で行った。
所沢高校では24歳の2学期から教壇にたったのだが、ここでもまた新たな問題にぶっかった。丸ノ内の旭硝子という会社で働いていた時、賃金も男女差はあったが、その頃の公務員の賃金よりずっと高かった。私が会社を辞める頃(1963年)、月給は1万4千円位であったが、教師になった時は毎月7千円位で交通費千円が加算された。事務長に何故こんなに安いのかと文句を言ったこともあった。その上、授業もあまりうまくいかず3年間位は、やめよう、やめようと新聞の求人欄を見ていたこともあった。
「石の上にも三年」という諺があるが教員になって三年目位からおもしろくなってきた。
所沢高校では組合運動も活発であり、私も役員になり、日教組の教研集会で各地を訪れた。
所沢高校時代は組合運動だけでなく男女平等の運動も進めた。家庭科の男女共修運動、男女混合名簿の実現、男女別学校の解消、女性の議員を増やす運動、今もかかわっているものがいくつかある。
私は50歳で所沢高校を退職した。昼間は仕事、夜は運動で過労になり、眼の病気(網膜剥離)になり手術もうまくいかず右眼は失明した。入院先のベットの上で、これからは男女平等の運動一本でいこうと名刺に「男女平等家」という文字を入れた。友人が都議選に出るのを手伝ったり、那覇市議になったばかりの高里鈴代をインタビューをした。友人達と「女が政治を変える」という本を出版もした。
そんなわずかな経験を生かし、私も議員に立候補してみようという考えが浮かんだ。
私が立候補した1991年春の所沢市議選では議員定数も減らされていた。たしか36名であったと思う。下から二番目でやっと当選できた。そして1995年の二期目はわずかの票差で次点になってしまった。落選した時は体調をこわしさんざんであったが、この年、北京で開かれた国際婦人年北京大会で世界中の女性から元気をもらい立ち直っていった。
所沢と私とのつながりはここ迄書いてきたが、県立高校の教師として県民の皆さまから賃金を頂き、所沢市議として応援を頂いた以上、お返しをするのは当たり前では、と自分に言い聞かせている。
両親、義父母、つれあいの介護も終わった今、これ迄の経験を生かし所沢から「希望」を発信する一翼を担いたいと決心している。
次回は「さらばオスプレイ」を書きます。
鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)
Pカンパニーが結成10周年を迎えて、2017年2月に上演した「白い花を隠す」の再演を試みた。石原燃の作、小笠原響の演出。都心の高層ビルの裏にある住宅地。その一画にある「喫茶ペチュニア」の店内が舞台に変わりはないが、再演を機に改稿が施されて、メディアに関わる人たちの心理がより鮮明になった。
店の中にはペチュニアのプランターが並ぶ。店主の麻衣子(水野ゆふ)が花の世話をしている。そこへ、制作会社ドキュメンタリートーキョーのディレクター藤田雅彦(内田龍磨)が入ってくる。法廷ドキュメンタリーとして、女性国際戦犯法廷における「慰安婦」問題に焦点をあてる番組を制作して、大手制作会社MHKの特集で放送するというのだ。
雅彦は若い谷響子(須藤沙耶)に担当させた。画面構成など議論を重ねて編集作業が進められていく。ところが、放送直前に、MHKのプロデューサーの森(本田次布)からクレームが付く。部長試写などの経過も語られ、放送までの仕組みや圧力も明らかにされていく。結局、責任は上司の大友敏也(林次樹)がとる。
台詞に重みがあり、戦慄すら覚える恐怖感がみなぎる。内田龍磨をはじめ客演の円城寺あや、磯辺万沙子も好演。須藤沙耶が成長した演技を見せていた。ちなみにペチュニアは赤い花を咲かせるが、本当は白い花だという意味深長なタイトルである。
*池袋・シアターグリーン、9月3日所見。
第10回憲法カフェは、9月21日、弁護士の山口真美(元自由法曹団事務局長・三多摩法律事務所所属)さんを招き、「欠陥だらけの国民投票法」を学習した。山口弁護士の講演要旨は次の通り。
2017年5月、安倍首相のメッセージで、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む。高等教育(無料化など)についても、すべての国民に真に開かれたものにしたい。2020年を新しい憲法が施行させる年にしたい。とメッセージを発した。このメッセージのねらいは、9条改憲が本丸であることを明言し、お試しの改憲はないことを明らかにした。9条があることからの戦争法の限界から、自衛隊を戦地で戦闘をさせるには改憲が必須との認識。9条「加憲(1項、2項は残す)」方式で、「災害救助」の自衛隊を評価する国民を取り込む狙いがあり、根強い9条支持の裏をかく姑息な手段だ。また、公明党を抱き込み、改憲勢力の広範な結集を狙っている。教育など他の論点とセットで、国民への飴も与え、2020年施行という期限を設けた。不退転の決意を表明し、改憲スケジュールの具体化、進まない改憲論議へ一石を投じ、改憲が政治日程化しつつある。いま、「武力によらない平和」の道を捨てるのか、戦後最大の岐路に立っている。
憲法を改正する際の手続の一つです。憲法第96項 1項に この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。2項は、この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。3項は、憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。とあります。改正までの3つの手順が必要です。それは、衆参両院の3分の2以上の賛成による発議。国民投票による国民の過半数の賛成。天皇の公布となる。
国民投票の手続をみる基本的な視点は、
@ 硬性憲法:憲法改正の条件を一般的な法律の制定に必要な条件より厳しくするもの
A 立憲主義:憲法は、国家権力に縛りをかけ、国家権力の濫用を防止して国民の自由と権利を保障するために存在する
B 国民主権:国政についての最高の決定権が国民にあるとする考え。憲法の基本原理が時の権力の都合で安易に変えられないよう厳しい条件を設定する。国民投票の手続は、憲法改正の是非という国の在り方の根幹について国民の意思を問うものであるから、国民の意思を正確に反映するものであることが必須となる。
政党などによる改憲案の発表・検討→国会による発議(改正原案の発案「提出」)審査会提案or議員提案があるが、いずれも改正原案の審議(憲法審査会に付託)が行われ、改正原案の可決(両院総議員の3分の2以上の賛成)で国民による承認となり、60〜180日の国民投票運動期間を得て、投票が行われて過半数の賛成で改憲が行われるのが手順だ。
正式名称は、「目本国憲法の改正手続に関する法律(憲法改正国民投票法)」と呼び、その略歴は2007年(平成19年)5月14日 成立。2010年(平成22年)5月18日 施行。2014年(平成26年)6月20日 開法の一部を改正する法律が公布・施行された。「憲法を頂点とした戦後レジームの脱却」「任期中の改憲」を標榜した第1次安 倍政権が強行採決した法律である。国民投票法は、最初から9条改憲を有利にする狙いでアンフェアなルールとして準備されたもの。だから「改憲手続法」である。
改憲派に自由を与え、護憲派に規制を課すアンフェアな手続法。改憲派が「金で改憲を買う」危険な手続法。欠陥だらけの改憲手続法の下で実施される「国民投票ュ民意」の危険がある。
欠陥1=少数の賛成で改憲のおそれがある。最低投票率の定めがなく、最低投票率=投票率が一定数に達しない場合には国民投票を不成立とする制度にする必要がある。現状では、投票率がどれだけ低くても、その過半数の賛成で改正が可能となってしまう。少数の賛成で改憲のおそれがある。国民の「少数での改正」を防ぐことができない仕組みであり、国民の「過半数」の形骸化に繋がる。例えば、2017年第48回衆院選でみると 投票率53・68%、無効投票率2・68%、有効投票は有権者総数の52・24%、その過半数は有権者総数の26・12%にすぎない。
2007年附帯決議6、2014年附帯決議18で、「主権者の意思の十分かつ正確な反映」「正当性に疑義が生じない」ために最低投票率の検討を掲げるが、不実施されている(=欠陥のまま)。
欠陥2=国民の運動を規制するおそれ 公務員・教育者の国民投票運動の制限し、特定公務員の国民投票運動の禁止(102条)を掲げている。当初は選管関係者だけが、2014年に裁判官、検察官、警察官へ拡大した。公務員・教育者の地位利用による国民投票運動の禁止(103条)。罰則なし、適用場面は「地位利用」に限定だが、懲戒対象にはなる。 2014年の附則・付帯決議による規制の動き 公務員が企画、主宰、指導する組織的運動に必要な法制上の措置(附則4)がある。公務員・教育者の地位利用による国民投票運動禁止違反への罰則(決議12)。地方公務員の政治的行為につき国家公務員と同様の規制(決議14)している。
組織的多数人買収及び利益誘導罪(あいまいな要件で取り締まりが可能に)(109条)は、・組織により、多数の投票人に対し、投票に関することを明示して勧誘し、投票に影響を与えるに足りる物品その他の財産上の利益もしくは公私の職務を供与し、あるいは供与の申込・約束をし、または供応接待・申込・約束をしたとき、3年以下の懲役もしくは禁固又は50万円以下の罰金とある。「組織」「投票に影響を与えるに足りる」「物品その他の財産上の利益」「公私の職務」、曖昧で広範で恣意的な運用のおそれがある。労働組合や市民団体の運動についてあいまいな要件で取り締まりが可能である。2007年附帯決議12「構成要件の明確化」は不実施(欠陥のまま)のままである。(次号に続く)
遠藤 倭子
改憲が今年の目標と安部首相 九条守れの署名集めん
しれしれと「この道しかない」と安部首相 九条壊し戦する道
九条は変えさせないと街に立つ 道行く人と手を振り合えり
仲間らと浴衣姿で駅に立つ「戦争するな」の七夕行動
横田基地の近くに住むとう大学生オスプレイへの怒り署名に込める
高校の孫をモデルに絵筆とる 戦はあるなと力込めたり
会うたびにハグして呉れる高一の孫 この若きらの手に武器は持たせじ
河村フクエ
寒椿許せぬことの多くあり
許さないこぶしをぎゅっと夏の空
抱きしめたい被爆の石の花冷えに
いくさ風吹かせてなるか夏の陣
平和よ平和青葉の風よ吹き渡れ
辺野古思う泡だつ心梅一輪
沖縄の勝利かみしめ大根干す
返せ返せあたたかい海沖縄の
五月来る九条心の真ん中に
春ランチ非戦のカード添えられて
ねむの花許しませんよオスプレイ
「あの人は丁寧な人で、郵便屋様、と敬語で呼んでいたねぇ」という話を聞きました。それは郵便局という官庁の仕事に携わる方への尊敬の念があったからだということです。かつての郵政省は今では日本郵便株式会社となりました。
昨年、その郵便株式会社から営業の若者が訪れ、他の配送会社より安価だからと熱心に勧められて特約ゆうパックの契約をしました。
りんごの5キロ・10キロ箱を多い日には15〜20個も集荷する、およそ3か月間にわたる連日の仕事です。最寄りの郵便局からは中年というか、もう少し上と思われる女性が軽自動車で来て積み込んで行きます。たぶん、彼女たちはパート職員でしょう。
ところが、今年の春から郵送料が値上げされました。うちの呑気なりんご屋さんは各契約者へ個別に新料金表といったものが届くものと思い込み、それを手にすることもなかったために値上がりを失念し、りんごの送料を昨年同様で案内しました。
シーズン初の「つがる」を発送した請求書を見てびっくり。ほとんど倍額ではないかという値上がりです。クロネコさんなどはすでに昨年値上げをしたのですが、郵便株式会社は企業としての競争のために価格を抑えていたのでしょう。
値上げの原因は人件費の高騰? いえいえ、長野ではパートの最低賃金引上げというニュースは聞きません。アメリカのイラン制裁による原油の不買で輸送費がかさむから? いえいえ、それ以前の話でした。
生産物の価格より送料の方が高い…これでは産直品を購入する人はなくなるでしょう。
いったいどのような経済学が跋扈しているものやら。送料の値上げが引き起こす経済連鎖。うちでは「うっかりミス」だったので赤字を覚悟しましたが、農業をやろう、と都会を離れた若者たちが頑張って来た小規模営農も、軌道に乗ったところでつぶされるのではないかと心配です。
この夏の猛暑を汗だくで耐えて彼らが育てた野菜の立派だったこと。今、棚田にはハサにかけられた金色のお米がきれいです。
原 緑
台風や地震にる被害が相次ぎ、自然災害の怖さを改めて見せつけられています。
▼玉城デニーさん勝利
翁長さんの遺志「辺野古に新基地を造らせない」を継いで立候補した玉城デニーさんが、大激戦のすえ勝利しました。企業・団体締め付けによる「期日前投票」の異常がマスコミで報じられましたが、「沖縄通信」(会報今号)でも原田さんが生々しい実態を伝えています。こうした攻撃をはね返してかちとった勝利。全国での連帯したたたかいの勝利でもあります。前号のカンパの訴えに、多くの方に賛同していただき5万円が寄せられました。原田さんを通して玉城選対事務所「ひやみかちうまんちゅの会」にお届けしました。ありがとうございました。
▼11月17日に「沖縄と心をむすぶ文化のつどい」
今号「会報」に案内のチラシを入れましたのでご覧ください。沖縄のたたかいに連帯し、私たちの会として初めて開催するつどいです。チケットは世話人にお求めください。また、チケットの普及にもご協力ください。
▼「9条の会・講演会」せまる
10月21日、「北東アジアの平和をどうつくるか」と題して孫崎享さんに講演していただきます(前号チラシ)。チケットは世話人にお求めください。
▼安倍9条改憲NO!「3000万人」署名
第4次集約(9月30日)に向けて、9、19日に駅頭宣伝、16日には並木団地にチラシ・署名用紙を配布。その結果、署名数は「1062」に。