機関紙42号 (2009年2月20日発行)



もくじ
「日本でも変革が起きるといいですね」
   ◇会員を訪ねて 新春講演会講師 藤田博司さん
「九条」を護り、輝やかせるために
   勝木英夫(マスコミ・文化九条の会所沢代表)
加藤周一さんの死を悼む
  「思い」の実現に努めたい
   間島 弘(世話人・元編集者)
巨星の遺志をどう引き継ぐか、不合理な死を悼む
     野辺悦志(北所沢町在住)
あれこれ(16)
  みみずのこえ
   増岡敏和 (詩人)
鈴木彰の「字違えば見通しのないハケン村」
生きるための憲法運動を
  9条が25条と結びつくとき
   竹腰将弘(ジャーナリスト・山口在住)
その時にそなえて、模擬投票で主権者意識の学習
   鎌田富夫
見る聞く語る
  子どもたちが弔問に訪れる、ある愛犬の死
  ワンワンパトロールで子どもたちの安全を監視
  ある時は「九条守れ」のゼッケン付けてデモ行進
   本間昭信(中新井在住)
連続講座 今、学ぶ「日本国憲法」 受講者募集
短信
  ■合唱団ききゅう「うたの講座」
  ■朗読劇「蟹工船」を伽羅(KYARA)が公演
  ■アローン・シアターが公演
  ■日野原重明医師(聖路加国際病院理事長・同名誉院長)が憲法9条を語る
  ■ユーラシア名画シリーズ第54回上映会




「日本でも変革が起きるといいですね」

◇会員を訪ねて

新春講演会講師 藤田博司さんに聞く

 2月28日の新春講演会に「オバマ大統領でアメリカはどう変わるか」と題しての講演をお願いしている藤田博司さんを一足早くお訪し、米国の最新情報をお聴きしました。これから始める「シリーズ会員を訪ねて」の第一弾です。フラワーヒルの閑静な住宅街にある藤田さん宅のブザーをおすと扉が開き「どうぞ」と、優しい紳士があらわれました。

Q 共同通信杜の入社は何年ですか

 昭和35年でしたか。社屋が日比谷の時代で時事通信も新聞協会も一緒でした。桂敬一さんは、私より二つ上です。学部は違いますが、大学は同じです。

Q 共同通信では外信畑を中心にご活躍されたのですか。アメリカには奥さんも行かれたのですか

 大阪の社会部に3年いました。その後、本社の外信部に配属になり、アメリカに3回行ったうち2回のニューヨークは一緒でした。ワシントンは単身で赴任しました。

Q アメリカのいいところ、悪いところ、好きなところ嫌いなところは

 いいところは一言では割りきれないですが、日本に較べておうようなところがいいと思いますね。余りちまちましたところにこだわらないのが。しかし、外国人として住んでいるのとは大分違うかもしれません。競争社会の世界で、競争原理が徹底している。日本もだんだんそうなってきていますね。

Q オパマはなんて勝てたのでしよう

 二つほどの理由があると思います。大きな状況から言えば、歴史の流れが黒人候補の資質のいい人があらわれれば当選できる可能性が生まれていました。60年代の初め、70%以上が白人ですが、今は人口の60%台に後退して、34%がマイノリティです。共和党がレーガン政権以降保守化したと言うことがありますが、南部社会の福祉施策を攻撃するという考え方が露骨に出てきて、共和党の政策の限界、壁にぶつかっています。それに、黒人に対する差別意識は若い人たちの間では薄くなりつつあり、それは教育の成果だと思います。直接的にはオバマの方が若いがしっかりしている。リーマンブラザースが破たんし、マケインの方はおたおたしていたが、オバマの方が対応策を持ち、頼りになる。それが目に見える形で有権者に分かったのです。

Q 私たちの「九条を守る」運動にオバマ大統領の誕生はどんな影響を与えますか

 「九条とあえてつなげるとすれば、核政策の考え方に違いが表れてくるだろうと思います。オバマが核の脅威をなくそうと言っています。
 日本の運動をしている人たちが核廃絶を引き出して、全面核実験包括条約、大気圏に影響を及ぼさない範囲でやろうと望んでいるがなかなかむずかしい問題です。
 ロシヤや中国が一緒にやろうということになれば進むかもしれないが、そう進むとは思えません。イスラエルはどうするんだと言う意見も出てきます。私はオバマ氏は平和主義者ではなく、現実主義者だと思います。我々が期待するような平和主義者ではありません。
 このあとも、日本のジャーナリズムのあり方やオバマ氏と対応する日米関係や九条の会運動についてと編集部の矢継ぎ早の質問にも、丁寧にそして判りやすいジャーナリストとしての洗練された話しに引き込まれました。
(鴨川)



もくじへ


「九条」を護り、輝やかせるために

勝木英夫「マスコミ・文化 九条の会 所沢代表」

 シベリアの町ヤクーツクでは、学生や同僚、知人の多くが、私が「九条」の運動に関わっていることを知っている。ロシアでは、第二次大戦で2000万人もの人命が奪われました。だから、日本国憲法第九条の大事さについての長々しい説明は不要です。

 欧米出身の教師たちの反応は、やや複雑で、「日本は金持ちだからね」など、皮肉な表情を浮かべる者もいます。「身の安全を金で買っている」ことへの反発が、そうさせるのでしょう。しかし、「九条」は、この種の安手の免罪符ではなく、大戦への日本人の深刻な反省から得られた崇高な理念の結晶にほかなりません。この点をきっちり説明すれば、納得を得ることは、さほど困難ではなく、またこの点に徹底してこだわることは「九条をさらに生かす」道に直結するはずです。

 今年は総選挙の年。麻生内閣の支持率は、どの調査でも10%台で、とても憲法改正を言い出せる状況ではありませんが、すでに自・公両党だけでなく、民主党の一部をくわえ込んだメンバーの手で、「新憲法大綱案」なるものが発表されていることを忘れることはできません。

 私たちの会は、創立4年目を迎え、6月には記念の総会を予定しています。改憲を確実に拒むためには、他の九条の会と力をあわせ、所沢でも住民の過半数の賛同を獲得しなければなりません。井上ひさしさんの提起に応え、「無防備地区所沢」の実現のためには、何から始めるか。そのためには、会員も早期に500名に増やすとともに、会の組織・運営の抜本的強化も必要です。日本国憲法を学ぶ連続講座、文化展の継続・発展の具体策…。会員・読者のみなさんの積極的な提案をお寄せ下さい。



もくじへ


加藤周一さんの死を悼む

「思い」の実現に努めたい

間島 弘(世話人・元編集者)

 加藤周一さんの訃報を聞いたとき、12年前、加藤さんと樋口陽一先生との憲法対談『時代を読む--「民族」「人権」再考』(小学館、1997年)を担当したころのことを思い返していた。

 比較憲法学の権威、樋口陽一先生(当時、東大教授)と同郷で、先生と古くから知り合いだった木下邦彦さん(星文杜代表)から「樋口先生が“加藤周一さんと日本国憲法について話し合ってみたい”と言っておられる」ということが伝えられた。加藤さんの意向をうかがってみると「やりましょう。しかし、今、かかえている仕事もあり、改めて憲法も考えてみたいので2年の猶予がほしい」とのことだった。
 お二人の対談がスタートしたのは、96年夏の軽井沢からで、その後、東京での2回の対談ののち刊行の運びとなった。

二人が話し合われたこと

 樋口先生の発案企画であることもあり、対談は樋口先生が加藤さんに問いかけるという形で進められた。構成はプロローグ--8月15日をどううけとめたか、1、憲法の根源をなす自由と平等について、2、戦後50年の変容--第九条の関係も、3、ネイション・ステート(国民国家)--民族、国家、主権を考えるにあたっての基本、4、日本人のアイデンティティ--日本が主張すべきこと、とまとめられた。

 私も50代になっていたが、それまで週刊誌勤務が長く、憲法を本格的に勉強した事がなかった。二人の碩学を前にどうなることかと緊張したが、お二人の意向は「この対談を若い人に読んでほしい」という点で共通しており、途中、分かりにくいところを質問しても、丁寧に解説してくださった。私の編集者生活の中でも、最も“はりつめた”時間だった。

印象に残っていること

 構成項目をご覧になっておわかりのとおり、この紙数ではとても説明しきれないので、加藤さんの発言で強く印象に残った二つのことにふれたい。

 加藤さんは、敗戦の年のことについてこう語られた。「私は26歳でした。とにかく死なないで済んだ。このままいけば、皆、死んでしまうだろう。それと少数者(私もふくめて)精神的な解放感、それはファシズム、言論弾圧からの解放ということだった」。このことは、「九条の会」アピールの二行目に強く謳われている。

 もう一点は、最終章の「日本人のアイデンティティ」に関して、「西洋から継承した憲法文化をもう一段高いところへ発展させる事こそが、日本のアイデンティティになりうるのではないか」と。最近でこそ、ブッシュからオバマヘとアメリカ大統領の移行問題で「西洋」の実相が明らかになりつつあると思うが、加藤さんは、この前段で「西洋」で誕生した人権と民主主義思想を継受した日本国憲法は、同時にまた“力による正義”という西洋の伝統をのりこえようとする理念をかかげている」と。ここでは明らかに日本国憲法「第九条」の持つ人類史的な重みを指摘されている。

 加藤周一さんが、「二年間の猶予を」といわれ、改めて日本国憲法を読み込まれたことが、「九条の会」アピールに色濃く反映されているのではと思っている。
 「対談」を担当した者の“思い込み”ですまさないよう、今後も「九条の会」アピールを読み込み、加藤周一さんの「思い」の実現のために努めたいと思っている。



もくじへ


巨星の遺志をどう引き継ぐか、不合理な死を悼む

野辺悦志(北所沢町在住)

 加藤周一はある雑誌に「日本の為政者の歴史は、『破滅しないと反省できない』歴史である」と書いた。その一例として第二次世界大戦の敗戦をあげている。敗戦が明らかなあの時期、日本の為政者は「広島と長崎に原爆が落とされる惨事(破滅)を受けるまで敗戦を認めなかった」そして、さらなる国民の犠牲を広げたという。

 戦後、自民党の政治家は一貫して「改憲と軍隊の海外出動」を策動している。加藤周一の認識によれば「この改憲の道も破滅までゆくのか」となるが、彼は立ち上がった。都内でよびかけ人が集った発会式の場で、小森陽一が「この九条の会を最初に提案した加藤周一さんを紹介します」と言ったとき、私は「この評論家は『行動する人』である」と確信した。

 加藤周一は07年、宮本願治の死に「訃報に接し」という追悼文で「宮本さんは反戦によって日本人の名誉を救った」といい、「仏を守るためにはいつでもたたかう四天王のようだった」と評した。そして、「死は誰にも必ず訪れるものだが、宮本さんのような人が亡くなるのは不合理だ」と結んでいる。加藤周一の死も同じことである。この激動の中、どのような活動で巨星の遺志を引き継いでいくか、今そのことを考える。



もくじへ


あれこれ(16)

みみずのこえ

増岡敏和(詩人)

 この詩は終行にいうように「私の戯れ」である。しカし書いたのは二年前の春先で、数回書き直して完成させたのだが、大した作品でもないのに、小学生時代に書いた拙句を後生大事にして、二年前は66年経つことになる。この執念は恥ずかしいが、われながら愛しくもある。

 小学校6年生の頃のことである
 私の書いた俳句がある

 土掘ってみみずの声を聞くまひる

 なんて 畑仕事に精出す祖母が
 鍬先で暦の土をめくると
 いつかな声を立てることないながら
 出てきたみみずがからだを捩り
 言葉を丸めて跳ね上げるように
 暴れるのを弄るのが
 在りし日の私の戯れであった

 *弄る=いじる(もてあそぶ)こと



もくじへ


鈴木彰の「字違えば見通しのないハケン村」



もくじへ


生きるための憲法運動を

9条が25条と結びつくとき

竹腰将弘(ジャーナリスト・山口在住)

派遣村から透ける大企業の横暴と政治の貧困

 今年ほど、正月らしい華やぎと縁遠い年明けもありませんでした。「派遣切り」で火を噴いた雇用大破壊はだれにとっても縁遠い話ではなく、親戚の数家族が集まった席でさえ「○○が首になった」という話題が、普通に出るほどです。

 テレビや新聞は、東京・日比谷公園の「年越し派遣村」をトップニュースで報じ続けました。集まった「村民」は主催者の予想を大きく上回る500人。派遣以外の働き方を選ぶことができず、低賃金と劣悪な条件で長く働き、蓄えもない人たちです。年末に向かうという時期に、職と住居を一挙に奪った派遣切りは、「死ね」というに等しいものでした。

ボランティア1700人 カンパなど2500万円

 解雇の通告を受けたショックで一時的な記憶喪失に陥った人、所持金1円で静岡県から歩いてきた人、自殺を決意し富士の裾野の青木ケ原樹海まで出かけ、駅で見かけたテレビニュースで派遣村を知って思い直した人…。炊き出しに並ぶ人たちは例外なく疲れ果て、どんよりとした目をしていました。

 なんとか支えようと集まったボランティアは1700人、全国から寄せられたカンパ、義援金は2500万円にのぼりました。

 派遣村は、目と鼻の先にある厚生労働省の庁舎を臨時の避難所として開放させました。緊急小口貸付金の実施や生活保護の幅広い受給を実現しました。これまで、社会的なセーフティーネットからすべてはじき出され、泥沼のような苦しみから抜け出す術を持たなかった人たちに、初めて公的な生活支援が及んだといって過言ではありません。

 1月5日、村民らは日比谷公園から国会までのデモ行進をしました。デモなど初めてという人たちが、国に衣食住の緊急支援、雇用の確保とともに「派遣切りをやめさせる緊急立法」などの要求をつきつけたのです。

 彼(彼女)らは、その目に人間らしい強い光を取り戻していました。そうさせた最大の力は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という憲法25条の生存権を掲げた行動だったと、私は思うのです。

 派遣村には、野党各党の幹部も次々かけつけました。日本共産党の志位和夫委員長は、派遣村の集会で「(同村は)働く仲間の命をつなぐ大きな仕事をした。そしてばらばらにされていたら見えなかった貧困というものが、ひとところに集まってみたら大変な問題だということが目に見える形になり、社会にその現実が突き付けられ、行政を動かす力を発揮した」とのべました。まったく妥当な評価です。

貧困の解決は国の責任 闘い抜いて道開く必要

 「派遣村」は、実は日比谷公園だけのことではありません。労働をめぐる深刻な問題が、この数年さまざまな角度から取り上げられてきました。それが他ならぬ「貧困」の問題であることが国民的に認識されるなら、その克服への政治の責任も明確になります。

 生存権をうたう憲法25条は、その第2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と、国の責任を明確にしています。日本政治の現状は、たしかにこの規定を裏切り続けてきました。だからこそ「貧困の解決は国の責任だ」と太く要求するたたかいが必要です。

 働く人の4割近くが不安定な非正規雇用に押し込められ、大企業の身勝手な都合で、労働者がモノのように使い捨てられたのが派遣切りです。この3月末には、契約期限満了にともなう新たな派遣切りの大波で、40万人を超える労働者が投げ出されるという予測もあります。どんなに働きたくても、働けないという底抜けの状態が広がりかねません。

 これとたたかう私たちの大きな旗印も、憲法にあります。第27条「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」という規定は、労働の能力と意思のあるものに労働の機会を与えることは「国の義務」だと解されているからです。

生活擁護のため9条と25条は不可分の関係

 派遣労働を原則自由化した99年の労働者派遣法改悪以来、大企業は正規社員の非正規への置き換えを大規模におこなってきました。昨年末にキヤノンやトヨタが引き金を引き、自動車、電機各社が先を争うように行った派遣切りは、経済変動のさいの調整弁として切り捨て勝手の労働者を使う、財界の戦略をはっきりと示しました。そうだからこそ、本格的で、腰を据えたたたかいをつくりあげなければなりません。

 「九条の会」呼びかけ人の一人、作家の澤地久枝さんは年初のインタビューで、生活擁護のたたかいに憲法25条を生かす必要にふれたうえ、「ものすごい世界経済不況の中で、25条は大変大きな意味を持ってきていますが、生存権を守る最大前提として9条があるという意味で、9条と25条は不可分の関係にある」と語りました(「しんぶん赤旗」1月8日付)。いま私たちは、生きるための憲法運動を大きく広げるときを迎えています。



もくじへ


その時にそなえて、模擬投票で主権者意識の学習

鎌田富夫

 高三の孫が18歳になりました。もしかしたら改憲投票に参加するかも知れません。国政選挙(模擬投票で参加する)を学校の授業の中で取り組んだ教育実践書に巡り会いました。この本で紹介されてた実践は、高校「政治経済」の授業で「選挙権」をテーマに、国民の「選挙権」や「参政権」を通して「人間の尊厳」を歴史的に学び、また日本国憲法との関わりから「立憲主義とは」「政治とカネ」「選挙制度のあり方」を生徒とともに考え、そして実際に学校内でクラスや生徒会を中心に国政選挙に合わせて模擬投票することで、民意がどのように反映しているかを学習し、子どもたちに主権者意識を高めた実践です。

 今の子どもたちが政治にどのように関心を持ち、模擬投票を通して「選挙権行使」を行う事の意味をどう理解してきたかを紹介しています。また、NPO団体が全国の学校や街頭で模擬投票を行い、その結果を公表しているとの紹介もあります。これからの時代を担う若者の投票行動が低下するなかで、学校教育現場でのこの実践の意義は大きいと思います。一読をお勧めします。



もくじへ


見る聞く語る

子どもたちが弔問に訪れる、ある愛犬の死
ワンワンパトロールで子どもたちの安全を監視
ある時は「九条守れ」のゼッケン付けてデモ行進

 この1月17日、一匹の犬が15年の生を終えた。「マスコミ・文化 九条の会 所沢」の世話人で小手指町在住の大野裕さんの愛犬、シェルティー系雑種の「ララ」ちゃんだ。

 編集会議で編集委員が大野さん宅にお邪魔すると、「ララ」が喜んで迎えてくれたものだった。その「ララ」の死を知ったその日から、近くの北中小学校の子どもたちが続々と大野さん宅を訪れ、「ララ」の遺影の前に花を手向け、冥福を祈った。たくさんの子どもたちが集まり、交通整理が必要なほどだったという。

 人と人との絆がともすると薄れ、社会不安が子どもたちの心にも様々な影を落としている今、何が子どもたちの心を動かしたのだろうか。

 「ララ」は、生後4〜5ケ月で近くの公園に捨てられていたのだが、愛犬を亡くして次の犬をすぐには飼う気になれず、1年ほど過ごしていた大野さんが、面接をして一目で気に入り、引き取って育て上げてきた。家の中で一緒に暮らしてきたこともあって大野さんの言葉をよく理解し、おとなしく優しい性格に育った。

 5年ほど前から、大野さんと「ララ」が中心になって“ワンワンパトロール”が始まった。北中小学校の児童の登下校につきそい、雨の日も風の日も子どもたちの安全を見守りつづけてきた。今では7頭の犬と飼い主がパトロールに参加している。

 毎年12月には大野さんがサンタクロース姿、「ララ」が角を生やしたトナカイになって、子どもたちに大人気となっていた。

 「ララ」はまた、「けん(犬ですから)法九条改悪反対」のゼッケンを付けて、メーデー行進にも参加する平和愛好犬でもあった。

 「ララ」が亡くなってから、いまだに子どもたちの訪問は絶えず、その数はすでに200人をこえ、「ララ」への感謝の手紙も多数寄せられているという。「ララ」はきっと子どもたちの心のなかにステキなものを遺していってくれたのだろう。

 大野さんには一つ心残りがある。それは、「ララ」の臨終に立ち会えなかったことだ。その日、「マスコミ・文化 九条の会 所沢」の機関紙の配布で、2時間ほど自宅を留守にしている間に「ララ」は旅立ってしまったのだ。しかし、平和愛好犬の「ララ」はきっと大野さんの活動を理解し、見守っているに違いないと思う。

本間昭信(中新井在住)



もくじへ


連続講座 今、学ぶ「日本国憲法」 受講者募集

 山田敬男氏(労働著教育協会会長・「歴史詳論」元編集長)を講師にお招きし、国民投票で問われる私たちの憲法について今、広く、深く、でも決して難しくなく学びます。この機会に、ぜひ「日本国憲法」を振り返ってみましょう。

 内容は次の通りです。受講希望者は下記連絡先に、3月20日までにFAXでお申し込みください。

第1回【日本国憲法の歴史的源流】4月11日(土)
 *日本国憲法の歴史的源流とその世界史的意義
 *平和主義、基本的人権の世界史的到達からみた日本国憲法の意義
 *日本近代の中で、日本国憲法の源流はどのように作られていたのか

第2回【日本国憲法の社会的定着をめぐって】4月25日(土)
 *日本国憲法の制度的成立とは相対的に区別される社会的定着の過程
 *社会の運動や国民の平和意識、人権意識のあり方との関遵

第3回【改憲派の論理と歴史観】5月9日(土)
 *戦後の改憲派の運動とその中における改憲の論理
 *改憲派の国家観、社会観とその基礎にある歴史観

第4回【今、憲法はどうなっているか一私たちの課題は何か】5月23日(土)
 *今日の改憲の動きはなぜ始まったのか一その背後に何があるのか
 *日米関係の変化一その動向と憲法間題の意味
 *アジアの平和の共同体構築に向けての動きと新しいアジアの流れ一私たちはどのように向き合っていくべきか
 *憲法を守る運動一その特徴と課題

◆会 場:所沢市文化センターミューズ管理棟4階第2会議室
◆期 日:4月11日から5月23日までの隔週土曜日、全4回
◆時 間:金回とも午後1:30〜3:45
◆参加費:資料代として2000円(全4回分、1回の受講も可)
◆定 員:40人(先着順)
◆申込先:04-2920-1877(電話/ファックス兼用) 原



もくじへ


短信

■合唱団ききゅう「うたの講座」
 所沢地域を中心に、愛・平和・人間・自然をテーマに歌い続ける合唱団「ききゅう」が、団の指揮者玉山マオさんを講師に「うたの講座」を開講します。初めての方はもちろん、経験のある方も、歌うことの楽しさや合唱の醍醐味を味わってみませんか。
期 間:3月15日から7月22日(全10回)
練習日:月2回(日と水)
. 会 場:所沢地区労会館
調 師:玉山マオ(声楽家、秋草短大講師)
募集人員:約30名
会 費:1万円(教材費込み)
主 催:合唱団ききゅう
問い合わせ:大鷲 04-2995-6008


■朗読劇「蟹工船」を伽羅(KYARA)が公演
「おい、地獄さ行くんだで!」
小林多喜二の文学の劇的興奮を味わってみませんか。
日 時:2月20日(金)14時と19時の2回
    2月22日(日)14時
場 所:武蔵野芸能劇場(三鷹駅北口徒歩1分)
入場料:2500円(70歳以上と小中学生は1000円。全席自由)
問い合わせ:.090-4964-0801(をはり)


■アローン・シアターが公演
 谷英美さん(会員)が、金子みすゞの生涯を演じるひとり芝居「空のかあさま」が、大宮のほか千葉県鎌ヶ谷市などで公演され、最終回はさいたま市に戻ります。
日 時:3月1日(日)14:30〜
場 所:さいたま市春岡小学校体育館
  春岡公民館主催の人権講演会の行事として公演。


■日野原重明医師(聖路加国際病院理事長・同名誉院長)が憲法9条を語る
 朝日新聞に連載中の「97歳の私あるがままに行く」でおなじみの日野原医師が命と平和を次ぎの世代につなげるために9条.の尊さを縦横に語ります。崔善愛さん(音楽芸術家協会所属。愛知県立芸術大学大学院修了後、米国に留学。指紋押捺拒否を理由に再入国不許可となり永住権を14年間奪われたが、現状回復した)のピアノとお話もあります。
日 時:3月31日(火)午後1時30分開演(開場は1時)
場 所:銀座ブロッサム(旧中央会館、地下鉄有楽町線新富町A1出口より1分)
前売り券:1000円(当日は1300円、前売りチケット希望は03-5367-4672にFAXで注文して下さい)


■ユーラシア名画シリーズ第54回上映会
「シベリア物語」DVD上映
日 時:3月1日(日)午後2時より
場 所:男女共同参画推進センターふらっと(寿町の高層コンセルタワーピル2F)
参加費:500円 04-2939-7630(坪井)



もくじへ


トップページへ