機関紙92号 (2013年9月29日発行)



もくじ

東電福島第一原発汚染水流出は世界の脅威
 東電福島第一原発の高濃度汚染水問題を考える
  真木實彦(福島県九条の会事務局長・福島大学名誉教授)
   ■汚染水の海への流出は事故直後からの問題
   ■「レベル3」相当の汚染水漏れの確認と政府・東電の責任の重大性
   ■東京五輪誘致を目的として行った安倍首相の発言
   ■汚染水の完全封じ込めにあらゆる努力を結集することの必要性
   ■崩壊した地域社会の立て直しに迫られる「福島」と汚染水問題

二つの文化行事のご案内
   ●憲法学習会
   ●輝け9条! 文化のつどい

財界の護憲派 品川正治氏逝く

太郎の部屋のほっとたいむ⑬
   鈴木太郎(詩人・演劇ライター 中新井在住)
   中村敦夫の「山頭火物語」

憲法も生活も破壊する安倍政権
 戦争への道、秘密保護法案と集団的自衛権
 選挙後の政治を大久保弁護士に再度聴く
   枝野論文も改憲案の一つ
   反原発運動も対象に
   米は許さない独自の行動
   「倍近し」しかない
   米は許さない独自の行動

鈴木彰の「日銀と派閥が組んで税上げる?」

長崎の「原水爆禁止2013年世界大会」に参加して
 核廃絶に地域・自治体の草の根活動の大切さを知る
   矢吹奈央(自治労連所沢市職員労働組合)

「メディアウォッチ100」
  池田龍夫
   五輪開催に浮かれ、緊急課題解決が遅れては困る

池谷薫さん(映画監督)からのメッセージ

紹 介
   ●ロシア最高の民族楽器奏者のアンサンブル モスクワ・カルテット所沢公演
   ●劇団希望舞台所沢公演 釈迦内枢唄





東電福島第一原発汚染水流出は世界の脅威

東電福島第一原発の高濃度汚染水問題を考える

真木實彦(福島県九条の会事務局長・福島大学名誉教授)

■汚染水の海への流出は事故直後からの問題

 事故直後の2011年4月から5月にかけてピット(立て坑)の割れ目から高濃度汚染水が噴出した問題は、すでに当時から注目されていた。これに関しては、最近になって海江田民主党代表が原子炉建屋陸側の遊水壁工事について、当時東電が1000億円かかるとして拒否したとその責任を追及した。

 東電の責任は当然としても、事態は「収束宣言」をした民主党政権下でのことであって、まさに天に睡をする類の対応であった。また、その後再登場した安倍自公政権も原発政策に関しては民主党政権を忠実に受け継いで、緊急課題である事故収束の抜本課題を放置したまま、原発再稼働や原発輸出に血道をあげた。

■「レベル3」相当の汚染水漏れの確認と政府・東電の責任の重大性

 原子力規制委員会は8月24日、高濃度汚染水「300t」が海に流出しているとして、国際的な原子力事故評価尺度を「レベル3」(重大な異常事象)に引き上げた。排水溝が防波堤外の海に直接つながっており、東電も「汚染水が海に流出した可能性は否定できない」と事態を追認した。

 そもそも、原発の敷地の方向に向かって西側から日に1000tの地下水が流入しており、そのうち400tが原子炉建屋に流入し高濃度汚染水となり、残りの300tが周辺の汚染土壌の影響で汚染水となり防潮堤内の海へ流れ出ているとみなされ、その対策が喫緊の課題だと提起されたのであった。その上、高濃度汚染水を収めた敷地内の地上タンクから汚染水が大量に漏れ出たことも確認され、国際的にも大きな反響を呼ぶ事態となった。

■東京五輪誘致を目的として行った安倍首相の発言

 汚染水問題の「状況はコントロールされている」「完全にO・3平方キロ内でプロツクされている」(9月7日)は、事実を無視した無責任発言との批判が一斉に沸き起こったとはいえ、この問題の抜本的解決が後に引けない日本政府の国際公約となったことも事実であった。

■汚染水の完全封じ込めにあらゆる努力を結集することの必要性

 しかし、現状は汚染水の現状把握すら東電まかせで、政府としての調査すら行われていないのが実態である。今後廃炉が成功的に終了するまで炉心冷却は休みなく続けられなければならない。

 冷却によって生じる汚染水が地下水流入と相乗して処理不能なまでに膨れ上がってしまったのだ。まさに非常事態である。先ず何よりも現状の正確で徹底した調査の実施と公表が求められる。これまでの東電の対応の根底には「汚染水はいずれ海に流せばよい」という安易な発想があったことは明らかだ。原子力規制委員長が汚染水を海に流すことを肯定する発言を行ったことも、これまでのずさん極まる対応を許した土壌を醸成してきたと判断せざるを得ない。

 政府には、「原発事故収束宣言」を撤回して、非常事態に対処する体制を全責任を持って構築することが何よりも求められる。

■崩壊した地域社会の立て直しに迫られる「福島」と汚染水問題

 これまで「ふくしま」は「事故収束宣言」以降、次第に孤立感を深めながらも原発災害に立ち向かい、住民の意思を結集した「地域社会」の再興のさまざまな困難を極める課題に意欲的に立ち向かい始めているところであった。

 正直なところ、原発敷地内の問題にはあまり目を向ける余裕を持たないままここまで来ている。海洋汚染は国際問題ともなる。世界的な課題となった汚染水問題をも取り込みながら全国・全世界と連帯しつつ自らの問題と結びつけて事態の課題解決を探求していく必要性を深く自覚しつつあるところである。(2013・9・23)

真木福島大学名誉教授は地域社会が抱える問題について、「日本の科学者」48巻10号(2013年10月号)(「本の泉社」刊)から「原発災害の実態と復興への展望」を刊行しています。ご参考下さい。



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二つの文化行事のご案内

●憲法学習会

 「改憲」より「壊憲」が狙いの安倍政権一私たちがすべきこと、できること一「戦争をするための『秘密保全法案』は恐い法です」
講 演:北村 肇氏(「週刊金曜日」発行人)
日 時:10月14日(祝日)14時〜16時
会 場:所沢地区労会館(西新井交差点、ホンダプリモ裏)
参加費:無料
主 催:マスコミ・文化 九条の会 所沢
問合せ:葛西(090-7815-4902)

●輝け9条! 文化のつどい

 戦争や武器でなく、平和を愛することぱを、心を、響きを!
日 時:11月3日(日)14時〜(13時半開場)
会 場:新所沢公民館ホール(地図参照)
参加費:無料
講 演:いのちの大切さ 佐々木愛さん(女優)
群 読:憲法前文 こてさし語りの会
詩の朗読:秋村宏さん、山本みち子さん、ほか
二胡演奏:むーらん(木蓮)
平和トーク:山本萌さん、小林善亮さん、桂壮三郎さん
主 催:マスコミ・文化 九条の会 所沢
共 催:九条の会詩人の輪
連絡先:本間 090-2440-3112 草鹿 090-6718-5582



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財界の護憲派 品川正治氏逝く

 経済同友会終身幹事で元日本火災海上保険社長の品川正治氏が、8月29日、食道がんのため東京都内の病院で亡くなられました。享年89。

 品川氏は、旧制三高(現京都大)在学中の1944年12月、中国戦線に出征し、足に被弾しながらも生き残り、復員した終戦翌年、復員船の船上で新聞に載った日本国憲法草案を読み、「国家」でなく「人間」の視線で条文が書かれており、「二度と戦争はしないと誓ってくれた」ことに涙したとのことです。

 品川氏は、誰のため、何のために働くのかにこだわり、「人を痛めつけ、幸せにしない国も会社も存在意義はない」と言い、「米国とは価値観を共有している」という論には、「とんでもない。第二次世界大戦後、世界中で戦争をし続ける国と憲法九条を持つ日本の価値観が同じはずはない」と反論。

 2006年には、「戦争のほんとうの怖さを知る財界人の直言」を出版。



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太郎の部屋のほっとたいむ⑬

中村敦夫の「山頭火物語」

 あの「木枯らし紋次郎」で一世を風靡した中村敦夫が、放浪の俳人・種田山頭人に扮して、朗読劇「山頭火物語−−鴉蹄いてわたしも一人」に取り組んでいる。6回目の公演(9月1日、日比谷図書文化館・ホール)を見ることができた。

 中村敦夫の作・朗読、窪島誠一郎の演出である。舞台の正面には日本画家・小島悠司の独特の画が飾ってある。ここに、句の文字が映し出される。両サイドにマイクと椅子がある。上手側には語り手(今回は吉村直=青年劇場)、下手側に山頭人(中村敦夫)が登場する。中村敦夫は黒いふちの眼鏡をかけ菅笠を被った行乞姿である。

 語り手は、山頭人のおいたちなどを語っていく。2万句を残したことも紹介するが、「まっすぐな道でさびしい」などの句について、どこがいいのでしょうね、などと、斜めに構えたところも出てくる。

 そして、中村敦夫が「ほろほろ酔うて木の葉ふる」「風吹いて一文もない」などと句を詠んでいくと、その心境が伝わってきて、なんだか深いところで共鳴していることに気がつくのである。

 酒乱であったことや放浪を続けた生きざまも、よりよい句を求めてきた精神の在り処であったことが、みごとな構成のなかで展開されていく。それにしても、山頭人、58歳の生涯が惜しまれる。
*次回公演11月2日・3日(午後7時)、東京・神保町の岩波書店セミナールーム。共演は佐々木梅治(劇団民芸)、入場券3000円。予約03−5376−9553



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憲法も生活も破壊する安倍政権

戦争への道、秘密保護法案と集団的自衛権

選挙後の政治を大久保弁護士に再度聴く

 安倍内閣は戦争をするための集団的自衛権行使を可能にする解釈改憲を年内にも提言する見通しとなった。また、「秘密保護法案」も秋の臨時国会へ提出を狙う。自民党議員の圧倒的多数のもとで、戦後平和主義が崩壊の危機にある。政治はどこに向かおうとしているのか、ピースセンターの大久保賢一弁護士(埼玉弁護士会憲法委員会委員長)に聴いた。(葛西建治)

一共産党は躍進しましたが、国会の72%以上が改憲派で占められています。崖っぷちが続きます

 これは大きいですね。主観的には嬉しいことです。国会内はその通りです。自民党の改憲草案が出ているわけで、自民党の議員が圧倒的多数を占めていることは、まぎれもない事実です。状況は良くなっていません。あわせて明文改憲だけでなく、解釈改憲といわれる事態も進んでいます。解釈改憲の大きな特徴は集団的自衛権を憲法を変えなくても、行使できるとすることです。集団的自衛権の行使を認めるだけではなく、特定秘密保護法とか国家安全保障会議(日本版NSC)を作る動きとか、あるいは安全保障基本法を通すとか、憲法を改正しないでも、集団的自衛権の行使ができる、つまり、米軍と一緒に武力の行使ができるという方向も顕著になっています。明文改憲だけでなく、集団的自衛権の行使を可能にする、それも解釈で持っていってしまう。その二つが同時に進行していることが特徴的です。

枝野論文も改憲案の一つ

 くわえて民主党の枝野氏が、憲法九条を私ならこう変えると、改憲私案を文藝春秋に掲載しました。彼の主張によると極端な改憲派と極端な護憲派による極端な主張が相対立している、それを何とかしなくてはならないない。憲法九条の第三の道として、九条はそのまま残し、九条の三に条項を追加して、個別的自衛権の行使と集団的自衛権の行使の両方を認める。もう一つは国連が行う平和、安全に関する活動には参加または活動することを認める方向を探ろうとする。現在の憲法九条の下では、歯止めをかけるのは明文の憲法によってかけるのではなく、解釈でかけているだけでしかない、だから憲法を変えて、自衛隊が海外で活動できる範囲に歯止めをかける。これが、枝野氏の主張です。

 彼の主張は自衛隊が海外で活動できるようにと言うのだから、けっして第三の道ではありません。改憲案の一つです。

 自民党の改憲草案は国防軍を設置すると明確に軍事大国を目指すことが正面に出ていますが、枝野氏も第三の道だといいながら、結局は自衛隊が米軍と一緒に海外で活動する道を開こうとするものです。彼は押し付け憲法論は決着済みだとか、憲法は国民を縛るものではなく、権力を縛るものだとか、そういう言い方をする人です。九条の一項、二項を残すとの言い方をするから、一部の人たちからすれば乗りやすい議論になる。公明党もそうでしょう。この案でいった場合には、自衛隊が外で活動することが出来ることになるから、自民党が乗ってくる可能性もあります。

 枝野氏のものの言い方で、もしかすると一定の影響力を与え、護憲派にもくさびを打ち込まれる危険性があります。

 政府・自民党がしようとしている集団的自衛権の行使に道を開くやり方は、内閣法制局の解釈を変えて、それに基づき、政府の集団的自衛権の行使の要件を変えてしまう。このやり方でも、米軍との協力・共同の軍事行動がまったくできなくはないが、フリーハンドでの海外での展開は今の憲法の下では制約があります。いまよりは米軍との行動がよりやりやすくなる、という狽いです。この動きを押し進めると、公明党は消極的で両手を挙げて賛成はしていない状況が続いています。それをどう説得するのかが焦点になります。

その動きと併せて機密保全法だとか、国家安全保障会議の強化とか目白押しに出てきているのが現状です。

反原発運動も対象に

一秘密保護法案が先にくるのか、これが成立してしまうと、メディアは死んでしまいます

 秘密保護法の恐いところは、防衛秘密から外交秘密、あわせて我が国の公共の秩序に及ぼすと思われる特定秘密も指定されてくることです。反原発運動などをしている人は、その論拠を探し出すために情報を求めること事態が危うくされます。政府は国民に対して情報を提供しなくなります。公務員を縛るだけでなく、アプローチしてきた一般国民まで対象とするのは間違いありません。9月17日でパブリックコメントを締め切り、手続きを終えた形になっています。臨時国会か通常国会には出して来るでしょう。集団的自衛権の行使は法案を出すことではなく、政府が解釈を変えるということになります。改憲ではありません。

 内閣法制局がどういう考え方を取るのかということと、防衛計画大綱も見直しがされます。集団的自衛権が行使できる国にするかどうかは、現状では政府だけで決めてしまおうということです。役人のクビをすげ替えるだけで、やってしまう、まさにクーデターです。

 内閣法制局とは味方同士の話しではありません。自衛隊は違法ではない、自衛権を持っていて、そのために最小限の実力は必要だ、けれども外に行くことは、まかりならない、これがこれまでの法制局の見解です。自衛隊を憲法違反とする人とは大きく異なりますが、自衛隊を海外に出すことの歯止めにはなっていました。それがなくなります。ブレーンの北岡伸一氏は、必要最小限度の自衛行動の中に集団的自衛行動を含めてしまう発想です。そうすると集団内自衛権はどういう性質のものになるかというと、通説的には他国に対する攻撃があった場合に自国に対する攻撃がないとしても他国と一緒に軍事行動に出る権利と理解されています。固有の自衛権では説明できません。いまの国連憲章では鬼っ子的な存在です。本来、国連憲章の中で鬼っ子的な集団的自衛権の行使が我が国の自衛権の行使と同一であり、最少限度の防衛力行使と同じ、とするには無理がある議論です。そんなことには関係なく解釈を変えてしまうのです。

 安倍首相の考え方の根本にあるのは、我が国を取り巻く安全保障の環境の変化だといいます。北朝鮮の度重なる核実験、そして中国の軍事大国化、それに対抗するには、我が国は集団的自衛権の行使、防衛力の強化、海外での武力行使の態勢を作らなければならない、それを明文改憲ではなく、解釈でいく、解釈でやることに対しては歴代の法制局長官がおかしいと異論をだしてきました。彼らは現行憲法の範囲内で行われるのはここまでだ、と歯止めをかけてきました。今度は同じ役人が解釈することで、先輩たちは、それはないだろう、出鱈目な解釈するんではないよ、ということです。

米は許さない独自の行動

 米国は、日本の軍国主義が自分達のコントロール下に置けなくなるのを嫌がっています。中国、北朝鮮の関係であれ、いたずらに事を構えられると、いまの米国の国家戦略からズレてくることがあります。東南アジアの国の人からしても、日本軍国主義が復活するのは困るので、米軍が日本にいてくれてもいいねというのが、瓶のふたと言われる論です。

 安倍内閣の人権感覚があまりにもウルトラライトになると、米国からもそっぼをむかれることになるでしょう。9条改定を米国が望んでいるのかは微妙ですが、自分達の手足として(自衛隊を)使いたいことはあるでしょう。日本が独自に軍事行動を起こすことは米国は絶対に許さないでしょう。

「倍近し」しかない

一国民の生活もひどくなっている

 改憲の方向にいく二つの柱は、一つは軍事大国化、もう一つは新自由主義的再編成。資本の利潤追求の要求を最大限に尊重する国造りにあります。軍事大国化を進める上で、北朝鮮、中国の脅威を強調する。中心的な規制緩和、構造改革といわれるのは教職員と社会保障の削減を進める。そこに出てくるのは自助、共助、公助でまず自分達で身を守りなさい、次ぎに家族で助け合いなさい、それで足りない分は保障で賄います。自民党の改憲草案でも個人の尊重がうたわれ、家族で助け合いなさい、家族が基本単位だよと強調しています。国家や自治体の最低限の文化的生活を保障する路線を変えますよという発想です。

 だからこそ9条を守り、25条も守る両方の視点が必要です。消費税が引き上がり、庶民からの収奪が強化される。その理由に財政の健全化とか社会保障の充実といわれるが、ある試算によれば、消費税増税が法人税減税分、富裕層の減税分で大部分が消えてしまうといわれています。

 15%増えれば、年金生活者、生活保護者は5%生活の質を落とさなければならない彼らにすれば、これから殺し合いに入るときに、貧乏人に配慮する必要はないということです。努力した人が報われる社会にするから、努力しなさいということです。

一これからどうするか

 年寄り頑張れです。なんといっても65歳以上が25%います。年金生活者には恐いものがありません。務めていれば企業の論理、しがらみがあるが、それがなくなります。半沢直樹で行きましょう。倍近ししましょう。子どもたちの時代、その子どもたちの時代は戦争OK、貧乏OKのとんでもない日本になっているかもしれません。これまで培ってきたものを、力を持っている連中、金を持っている連中が、根低からひっくり返そうとしています。安倍や麻生が庶民の気持ちが分かるわけありません。ならば、しがらみのない、いまの年寄りが、変えさせないようもっと頑張れ、です。

一政府高官の暴言、失言がなぜ続くのか

 個人的欲望をチェックする機能が働いていないのです。安倍にしても麻生、石破も平和主義はユートピアで非現実的だとの発想があります。人権より日本型の文化が優先する。だから新自由主義を押し進めるための、復古調の憲法草案には国民主権の発想も基本的人権も平和思想もまったく欠落しています。欠落していたほうが、彼らからすると支配を貫徹することも利潤を追求することも都合がいいのです。それは言い過ぎだと批判する自民党の長老たちもいますが、マスコミの追及も弱いのが現実です。首相とマスコミの幹部と会食していることが報じられるが、欧米のメディアではあり得ないことです。




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鈴木彰の「日銀と派閥が組んで税上げる?」


鈴木彰の寸評

 福島第一原発の汚染水漏れ、原発再稼働、オスプレイ演習の全国展開、アメリカのシリア干渉への無条件的な協力、TPP交渉の強行、等など。今月は、重大問題が山のようにあって、どれを、どのような切り口で取り上げるかの選択がたいへんでした。

 安倍政権は「アベノミクスの成果」を喧伝しつつ、消費税大増税を予定通り実施する準備を進めています。「ナチの手口に学べ」という発言で物議をかもしている麻生太郎副総理・財務大臣は、その発言に先立つ7月に「消費税増税は国際公約だ」と発言し、消費税増税の先送りを牽制。8月末には、何と黒田日銀総裁が「増税の先送りは『どえらいリスク』だ」と発言し、増税で景気が落ち込んだら「金融緩和」すなわちお札の増刷でこれをしのいで見せると胸を張りました。9月に入ると自民党の町村派や額賀派など各派閥の領袖が、派閥内の「先送り論」をつぶそうと発言を開始しました。これら一連の動きは、消費税大増税と社会保障大改悪を同時に強行する「一体改革」が、いよいよ本格的にすすめられる危険がひっ迫していることを示します。そこで今月の漫画では、この動きに釘をさすことにしました。




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長崎の「原水爆禁止2013年世界大会」に参加して

核廃絶に地域・自治体の草の根活動の大切さを知る

矢吹奈央(自治労連所沢市職員労働組合)

 今回私は、8月7日から9日まで、長崎で行なわれた「原水爆禁止2013年世界大会」に、埼玉県代表団の一員として参加させていただきました。

 開会総会の会場の長崎市民会館体育館には、開場時間の前がら多くの人が集まっていました。総会が始まると、会場内はもの凄い人の数と熱気で溢れ、その迫力に圧倒されました。

 開会宣言では、「被爆から68年が経つのに、国際社会で目に見える変化がなく、世界には未だに1万7千発を超える核兵器がある」「日本政府は核廃絶を求める共同声明に署名をしなかった」ことが報告され、参加者は強く核廃絶を訴えていました。その事実と参加者の声を聞き、気持ちがとっても高まりました。

 2日目は、17ある分科会の中から「佐世保基地調査行動」に参加し、船から佐世保基地を見たり、バスで移動しながら弾薬庫や米軍住宅をみたりしました。佐世保港は80%以上が制限水域、また港に隣接する平坦地も米軍や自衛隊の領域となっており、市民が安全に暮らせる場所が非常に少なく驚きました。港内には米軍が優先通行であることや米軍基地、娯楽施設の建設・改修を「思いやり予算」で日本が賄っている現実を知り、米軍だけでなく、言いなりになっている日本政府に対しても憤りを感じました。

 また、港には原子力潜水艦・空母が年に約20回も寄港することや引き揚げの際に亡くなった方々が埋葬されている釜墓地が、米軍住宅のすぐ隣にあることなど、市民の方々を思うと胸が痛くなる事実をたくさん知ることができた分科会でした。

 分科会の後は、平和公園に行き、組合から預かった千羽鶴を収めてきました。翌日が平和祈念式典だったため、平和の像の近くには行けませんでしたが、長崎の方々が“その日”を迎えようとしている空気を肌で感じることができました。その後、爆心地公園や原爆資料館を見学しました。

 3日目には、長崎市役所前で「長崎市職員原爆犠牲者慰霊献花行動」に参加させていただいた後、閉会総会に出席しました。2015年に向け、長崎からの決意を涙ぐみながら力強く訴える姿や海外代表が力強く核廃絶を訴える姿を見て、鳥肌がたちました。また、私も自治労連青年部の1人として、壇上に上がらせていただき、全国の青年たちとともに平和の大切さを訴えてきました。非常に良い経験をさせていただきました。

 今回、この世界大会に参加し、戦争の恐ろしさや命の尊さを改めて感じました。原爆投下の悲惨さを経験していない私達が、すべて理解するのは難しいことです。しかし、現地で見て、聞いて、感じたことを誰かに伝え、共有することはできます。核廃絶の世論を大きくするために大切なことは、地域・自治体による草の根の活動であることが何度も訴えられていました。全世界が平和になるように、できることから始めたいと思いました。




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「メディアウォッチ100」

池田龍夫

五輪開催に浮かれ、緊急課題解決が遅れては困る

 オリンピック招致の論議で、日本の海洋汚染不安、スペインの経済不安、トルコの民衆暴動による政治不安が問題点だった。日本での2020年五輪開催が決まったといって、有頂天になって欲しくない。7年後の五輪準備に専念するより、福島原発処理と財政・経済の建て直しこそ、当面の緊急課題であるからだ。

 安倍晋三首相はプレゼンテーションで「汚染水漏れは全く問題ない。抜本的解決に向けたプログラムを決定し、着手している」と強調したが、実態はなお深刻だ。五輪開催を成長戦略の一環とする考えのようだが、福島再生など別の重要課題は山積。そんな折、福島復興予算の流用が明るみに出たり、現場作業員の減少が心配されている。

 号外まで出した新聞社もあり、各紙の五輪報道は過剰過きたように思う。日本の現状認識について、もっと問題点を指摘するコメントが必要ではなかったか。
いけだ・たつお1953年毎日新聞入社、中部本社編集局長・紙面審査委員長など。




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池谷薫さん(映画監督)からのメッセージ

 「先祖になる」が平成25年度文化庁映画質(文化記録映画部門)大賞を受賞しました。2月のベルリン国際映画祭エキュメニカル賞特別賞、4月の香港国際映画祭ファーアーバード賞(グランプリ)につづく受賞です。

 出演者の佐藤直志さん、菅野剛さんはじめ撮影にご協力いただいた陸前高田の皆さん、制作及ぴ宣伝スタッフ、そして上映を支えてくれたすべての皆さんに心より感謝申し上げます。何卒よろしくお願いいたします。




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紹 介

●ロシア最高の民族楽器奏者のアンサンブル モスクワ・カルテット所沢公演

 秋もようやく深まる頃、ロシア民族楽器奏者ベストメンバーのコンサートにお出かけになりませんか。二組みの夫婦は人民芸術家、功労芸術家という、ロシアの人間国宝クラスの演奏家です。必ずや大きな感動の一夜、ひとときを私たちに贈ってくれると確信しています。
 演奏曲目 ロッシーニ「セビーリアの理髪師」序曲、サラサーテ「カルメン」の幻想曲の主題による「間奏曲」「ハバネラ」など 日 時:11月6日(水)19:oo〜21:oo(開場18:30)
会 場:所沢市民文化センター小ホール
入場料:一般2500円、シニア・学生2200円 全席自由
主 催:日本ユーラシア協会所沢支部
後 援:ロシア連邦大使館 所沢市教育委員会
問合せ:04−2939−7630 坪井 090−8504−8186 中山

●劇団希望舞台所沢公演 釈迦内枢唄

作:水上 勉 演出:米倉斉加年 主演:有馬理恵
 コスモス畑をぬけてくる馬車の鈴の音、いつもは棺桶を運んでくる馬車が、今日は姉さんたちを乗せてくる。家を離れて遠くに暮らす姉たちが帰ってくるのだ。父を弔うために…。
日 時:11月28日(木)19:oo(開場18:30)
会 場:所沢市民文化センターマーキーホール
入場料:一般3000円、高校生以下・障がい者1500円
主 催:「釈迦内枢唄」を観る会@ところざわ
*所沢平和委員会でもチケットを扱っています。090−9844−6749大場まで




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